Googleスプレッドシートで「関数がわからず手が止まる」経験は多い。実はGemini(AI機能)に日本語で指示するだけで、集計表や家計簿の骨組みを自動で作れるようになっている。
Googleは2026年6月18日、Googleスプレッドシート内のGemini機能について、自然言語の指示だけでスプレッドシート全体を作成・編集できる機能を日本語を含む28言語に対応拡大したと発表した(出典:Google Workspace Updates公式ブログ、gihyo.jp「GoogleスプレッドシートのGemini、日本語でスプレッドシート全体の作成・編集に対応」)。これまで英語中心だった機能が、日本語のプロンプトでもそのまま使えるようになった。
Googleスプレッドシート×Geminiで何ができるようになったか
今回の拡大で変わったのは、指示の言語だけではない。Geminiは表の構成そのものを理解した上で、シートの作成・数式の組み立て・書式の調整までを一括で行う。ユーザーが「〇〇の集計表を作って」と日本語で伝えれば、見出し行・データ範囲・合計式・条件付き書式までAIが組み立てる。
対応範囲は幅広く、予算管理表の更新、複雑な財務モデルの構築、蓄積したデータの傾向分析なども含まれる。Geminiが表・ピボットテーブル・グラフ・数式といったスプレッドシートの機能を組み合わせて処理するため、ユーザー側は「何を作りたいか」を言葉にするだけでよい。
これまでSUM関数やVLOOKUP、ピボットテーブルの操作方法をその都度検索していた人にとっては、作業の入り口が根本から変わったといえる。関数名を覚える必要も、操作手順を暗記する必要もない。
使い方(呼び出し方・指示の出し方の基本)
使い方自体は難しくない。スプレッドシートの右上、またはツールバーにあるGeminiアイコンをクリックし、表示されたチャット欄に日本語で指示を入力する。指示が抽象的すぎると意図とずれた表になることがあるため、次の3点を含めると精度が上がる。
- 何のデータを扱うか(例:7月の支出、営業チームの売上)
- どう集計したいか(例:月ごとの合計、担当者別の内訳)
- どんな形で見たいか(例:グラフ付き、色分けあり)
一度に完璧な表を求めるより、まず大枠を作らせてから「この列を追加して」「合計を一番上に移動して」と対話的に修正していくほうが、結果的に早く仕上がる。人に依頼するときの伝え方と近い感覚で扱うと失敗しにくい。
内部リンクとして、日常業務でのGemini活用を幅広く扱ったGeminiの仕事での使い方2026年版も参考になる。スプレッドシート以外の場面での活用イメージを補強できる。
具体的な指示例(家計簿・経費精算・簡単な集計表)
実際にどう指示すればよいか、シーン別に見ていく。
家計簿を作りたい場合は「食費・日用品・交通費・娯楽費の4項目で、月別の家計簿シートを作って。合計行と、予算オーバーした月がひと目でわかる色分けもつけて」のように伝える。項目名・見たい切り口・強調したい条件をまとめて渡すのがコツになる。
経費精算では「日付・利用目的・金額・立替者の列を持つ経費精算シートを作って。立替者ごとの合計を別シートに自動集計して」といった指示が使える。複数シートをまたぐ集計も、条件を明確に伝えれば一度で組み上がることが多い。
簡単な集計表であれば「このデータから、商品カテゴリ別の売上合計と構成比を出す表を作って」で十分に動く。すでに入力済みのデータ範囲を選択した状態でGeminiを呼び出すと、そのデータを対象に認識してくれるため、範囲指定の手間も省ける。
使う上での注意点
便利さの一方で、AIが作った表をそのまま信用しきるのは危険だ。Geminiが組み立てる数式や集計結果は、入力データの解釈違いや条件の取りこぼしによって、意図と異なる計算になることがある。特に金額が絡む家計簿や経費精算では、合計値を電卓や別の方法で一度検算してから使う習慣をつけたい。
また、指示があいまいだと、想定と違う列構成になったり、不要な行が追加されたりする。おかしいと感じたら都度「この部分を直して」と伝え、修正のやり取りを重ねるほうが、結局は早く正確な表にたどり着く。
Geminiに限らず複数のAIツールを状況に応じて使い分けたい人は、複数AI使い分けガイドも目を通しておくと、今回のような表計算特化の場面とそれ以外の使い分けが整理しやすくなる。
従来のExcel関数作業とGemini日本語指示の比較
| 項目 | 従来のExcel関数での作業 | Gemini日本語指示での作業 |
|---|---|---|
| かかる時間(簡単な集計表) | 関数を調べながら30分〜1時間 | 指示から数分程度 |
| 必要な知識 | SUM・VLOOKUP・ピボットテーブルなどの操作知識 | 作りたい表を言葉で説明できれば十分 |
| 修正のしやすさ | 数式を再度自分で組み直す必要がある | 「ここを直して」と伝えるだけで再構築 |
| ミスのリスク | 手入力・関数ミスによる誤りが起きやすい | AIの解釈違いによる誤りが起きうる(要検算) |
表からもわかる通り、時間と知識のハードルはGeminiが大きく下げてくれる。ただしミスの種類が変わるだけで、なくなるわけではない点は覚えておく必要がある。
よくある質問
Q. 無料版のGoogleアカウントでもGemini in Sheetsは使えますか。
A. 利用可否や上限はプランによって異なる。個人のGoogleアカウントとGoogle Workspaceの契約とで提供状況が変わるため、自分のアカウント種別でGeminiアイコンが表示されているか、実際にスプレッドシートを開いて確認するのが確実だ。
Q. 日本語で指示しても英語の関数名で結果が返ってきます。なぜですか。
A. 数式自体はSUMやVLOOKUPなど元々英語表記のため、指示文が日本語でも数式名は英語のまま表示される。これは仕様であり、機能が正しく動いていないわけではない。
Q. 複雑な指示を出すとエラーになったり、表が崩れたりします。対処法は。
A. 一度に多くの条件を詰め込みすぎると、意図が正しく伝わらないことがある。まず簡単な指示で大枠の表を作らせ、そこから「この列を追加して」のように段階的に指示を重ねると崩れにくい。
Q. 会社の経費データなど、機密性の高い情報を入力しても大丈夫ですか。
A. 入力したデータの扱いはGoogleの利用規約・プライバシーポリシーに従う。特に業務データは、会社が定めるGoogle Workspaceの利用ルールを確認したうえで判断すべきで、個人の判断だけで機密情報を入力するのは避けたい。
Q. Geminiが作った集計結果は、そのまま経費精算などの正式書類に使ってよいですか。
A. 参考資料としての活用にとどめ、正式な提出前には必ず自分の目で数値を確認したい。合計金額や件数など重要な数字は、別の方法での検算を挟んでから使うのが安全だ。
まとめ
2026年6月18日の発表により、Googleスプレッドシートは「関数を覚えていないと使いこなせないツール」から「言葉で頼めば形になるツール」へと一歩近づいた。家計簿や経費精算、簡単な集計表であれば、日本語の指示だけで骨組みが完成する場面が増えていく。
ただし、AIが作った数式や集計は必ず検算するという姿勢は変わらず必要だ。便利さに任せきりにせず、最後の確認は自分で行う。
✅ 今すぐできること:手元のGoogleスプレッドシートを開き、右上のGeminiアイコンから「今月の支出を項目別に集計する表を作って」と日本語で入力してみてほしい。数分でできあがる表の精度を、まず自分の目で確かめることから始められる。