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住宅ローン控除と繰上げ返済どちらが得か【2026年版シミュレーション比較】

この記事の要点

住宅ローン控除期間中に繰上げ返済すべきかを具体的なシミュレーションで比較。控除額・利息節約額の計算方法と、どちらが得かを判断する3つの基準を解説します。

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住宅ローン控除が残っているうちに繰上げ返済をすると、損をするケースがある。これを知らずに繰り上げて後悔した、という話は珍しくありません。

「手元に100万円ある。繰上げ返済に充てるべきか、それとも控除期間中はそのまま持っておくべきか」——この判断は、金利・残高・控除率・残り控除年数の4つで結論が変わります。「繰上げ返済は正義」でも「控除があるうちは絶対しない」でもなく、数字で比べることが唯一の正解です。

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  • 繰上げ返済 vs 控除維持 比較表はこちら
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住宅ローン控除の仕組みをまず整理する

住宅ローン控除(正式名称:住宅借入金等特別控除)は、年末のローン残高の0.7%が所得税・住民税から差し引かれる制度です。2022年の税制改正で控除率が1.0%から0.7%に変更され、現在に至ります。

たとえば年末のローン残高が3000万円なら、3000万円 × 0.7% = 21万円が税額から直接引かれます。「所得控除」ではなく「税額控除」なので、課税所得に対する税率に関係なく、計算した金額がそのまま税額から減ります。これが住宅ローン控除の強みです。

控除期間は新築住宅で最長13年、中古住宅で10年。

ただし、控除を受けるには年末時点でローンが残っていることが前提です。残高が減れば控除額も減る。ここが繰上げ返済との矛盾が生まれる部分です。


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繰上げ返済で何が変わるのか

繰上げ返済には2種類あります。

  • 期間短縮型:毎月の返済額は変えず、返済期間を短くする
  • 返済額軽減型:返済期間は変えず、毎月の返済額を下げる

利息節約の効果が大きいのは期間短縮型です。元本が早く減るぶん、以後に発生する利息が丸ごとなくなります。返済期間が5年縮まれば、その5年分の利息が消える。100万円の繰上げ返済が、金利・返済期間によっては30万〜50万円の利息削減になることもあります。

とはいえ、繰上げ返済によって年末残高が下がれば、住宅ローン控除の対象額も下がります。

つまり「利息の削減額」と「控除額の減少分」を天秤にかけることが必要になる。どちらが大きいかは、ローンの金利水準で決まります。


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シミュレーション比較

具体的な数字で見ていきます。

条件:借入3000万円・返済期間35年・金利1.0%(固定)・2026年時点で残り控除期間10年

繰上げ返済しない場合(控除を満額受け取る)

年末残高が約2800万円残っているとすると:

  • 住宅ローン控除額 = 2800万円 × 0.7% = 19.6万円/年
  • 10年間の合計控除見込み = 約180万円(残高が減るにつれ控除額も減少)

この180万円は「現金として返ってくる」メリットです。利息を払い続けながらも、その分の一部を国が戻してくれるイメージです。

100万円を期間短縮で繰上げ返済した場合

金利1.0%・残り返済期間が20年前後の状況で100万円を繰り上げると、利息削減効果はおよそ10〜12万円程度です(ローン計算ツールで試算)。

一方、年末残高が100万円減ることで:

  • 控除額の減少 = 100万円 × 0.7% = 7000円/年
  • 10年間の控除減少分 = 約6〜7万円

繰上げ返済による利息節約(約11万円)が、控除の減少分(約7万円)を上回ります。差し引きで約4万円のプラスになる計算です。

ただし、金利が0.5%以下になると話が変わります。

金利0.5%の場合

同じ100万円の繰上げ返済で、利息削減効果は5〜6万円程度に落ちます。控除の減少分(約7万円)が利息節約(約5万円)を上回り、繰上げ返済が「損」になるケースが出てきます。


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4つの選択肢を比較する

繰上げ返済を検討するとき、実際には4つの選択肢があります。

比較表

選択肢利息削減控除への影響手元の流動性向いている状況
繰上げ返済する大きい控除額が減る現金が減る金利1%超・控除終了が近い
NISA(積立)で運用するなし(運用益が期待できる)影響なし投資分は拘束される長期視点・リスク許容あり
そのまま(現金として保有)なし影響なし最大限確保不測の事態に備えたい
控除終了後に繰上げ返済大きい(利息節約を最大化)控除を使い切ってから一時的に現金が減る控除期間中は温存したい

「NISA(積立)で運用する」を選択肢に入れているのは、実際にこれが有力なケースがあるからです。金利0.7%以下のローンで住宅ローン控除(0.7%)を受けている場合、実質的に借入コストが相殺されている状態になります。その状況で繰上げ返済に100万円を使うより、NISAのインデックス投資に回して長期運用する方が期待リターンが高くなる可能性があります。

ただしこれは投資にリスクが伴う話です。運用結果は保証されません。


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どちらが得かを判断する3つの基準

数字を細かく計算しなくても、以下の3つで大まかな判断ができます。

基準1:ローン金利が0.7%を超えているか

住宅ローン控除率は0.7%です。ローン金利が0.7%を超えていれば、控除で相殺しきれない利息が発生しています。この場合、繰上げ返済の「利息削減効果」は控除の減少分より大きくなりやすく、繰上げ有利になるケースが多い。

金利が0.7%以下なら、実質的な借入コストはほぼゼロかマイナスになっています。繰上げ返済を急ぐ必要性は薄い。

基準2:控除の残り期間が何年あるか

残り期間が長ければ長いほど、繰上げ返済による控除減少の影響が積み上がります。残り10年と残り2年では、同じ100万円の繰上げでも、控除への影響の総額が5倍違います。

控除終了まで残り3年以内なら、繰上げ返済のデメリットは限定的です。そのタイミングを待って繰り上げるのも合理的な選択です。

基準3:手元の現金に余裕があるか

繰上げ返済で現金を使えば、緊急時の備えが薄くなります。生活費の6カ月分を現金で保有することが最低ラインとされていますが、それを下回るなら繰上げ返済より現金確保を優先すべきです。

ローンの利息より、生活が行き詰まることのほうがリスクが大きい。これは原則として押さえておく必要があります。


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控除終了後に繰上げ返済するパターンの実力

「控除が終わってから繰り上げる」という戦略は、案外見落とされています。

たとえば2026年時点で残り控除期間が5年あるとします。5年間は繰上げ返済を控えて控除を満額受け取り、5年後にまとめて100万〜200万円を繰り上げる。

この場合のメリットは2点です。

  1. 1控除を5年間フルで受け取れる(年5万〜20万円規模のリターン)
  2. 2繰上げ返済のタイミングが遅くなるほど、元本返済が進んで残高が減っているため、利息削減効果の計算が変わる

デメリットは、控除期間中に利息を払い続けることです。ただしその利息の一部は控除で取り戻せているため、純粋なコストは「利率 - 控除率(0.7%)」の部分だけになります。


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よくある質問

Q. 変動金利で金利が上がった場合、繰上げ返済はすべきですか?

A. 金利が上昇してローン金利が住宅ローン控除率(0.7%)を大きく超えてきた場合、繰上げ返済の優位性が増します。特に金利が1.5〜2%を超えてくると、毎年の利息負担が控除の恩恵を大幅に上回ります。一方で、変動金利は今後さらに変動するリスクもあります。金利上昇が続く局面では、固定金利への借り換えも含めて検討する価値があります。

Q. 繰上げ返済手数料がかかる銀行の場合はどう計算すればいいですか?

A. 手数料がある場合は、利息削減効果から手数料を差し引いた金額で比較します。たとえば利息削減が15万円でも手数料が5万円なら、実質的な節約は10万円です。近年はネット銀行を中心に繰上げ返済手数料が無料のところが増えています。手数料がかかる銀行では、繰り上げる金額や頻度の調整が必要です。

Q. 住宅ローン控除の確定申告をまだしていない年がありますが、遡って申告できますか?

A. 控除を受けるには確定申告(または年末調整)が必要です。申告が漏れていた場合、5年以内であれば更正の請求(遡及申告)ができます。6年以上前は原則として遡れません。申告忘れによる控除の取りこぼしは金額が大きくなるため、過去に申告していない年度がある場合は税務署に相談することをおすすめします。

Q. 親からの贈与を繰上げ返済に使う場合、税金はかかりますか?

A. 親や祖父母から住宅購入・ローン返済資金として贈与を受ける場合、「住宅取得等資金の贈与税の非課税特例」の対象になる場合があります。ただし適用には条件(新築・中古の別・省エネ基準・贈与を受ける人の所得など)があります。贈与額・家屋の状況によって非課税枠が変わるため、贈与前に税務署や税理士に確認することを強くすすめます。

Q. 繰上げ返済とNISA投資、どちらを優先すべきですか?

A. 金利・控除・期待リターンの3軸で考えます。ローン金利が0.7%以下で控除期間が残っているなら、実質的な借入コストはほぼゼロ。この状況では、長期でインデックスファンドに積み立てるNISAの期待リターン(年率4〜5%程度が一般的に想定されます)が、繰上げ返済の利息削減効果を上回る可能性があります。ただし投資には元本割れのリスクがあります。リスクをどこまで許容できるかを踏まえた上で判断してください。


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✅ 今すぐできること(1分)

住宅ローンの残高・金利・残り控除年数の3つをメモして、以下を計算してみてください。

「年末残高 × 0.7% = 今年の控除見込み額」

この金額が毎年手元に戻ってくる価値と、繰上げ返済による利息節約額を比較するのが判断の出発点です。金融機関のサイトやローン計算アプリで「100万円繰上げ返済した場合の利息削減額」を試算するだけで、方針が見えてきます。


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まとめ:判断の軸は「金利 vs 控除率 0.7%」

繰上げ返済が得か、控除を維持するのが得かは、一律には決まりません。

ただ判断軸はシンプルです。ローン金利が0.7%を大きく超えているなら繰上げ有利。0.7%以下ならそのまま維持か、NISAで運用する方が総合的にプラスになる可能性があります。そして控除期間の残りが少なくなってきたら、終了後にまとめて繰上げる戦略も選択肢に入ります。

「なんとなく借金は早く返したほうがいい」という感覚は自然ですが、住宅ローンは控除という特殊な制度があるぶん、感覚よりも数字で考えることが大切です。

なお、この記事はあくまで情報提供を目的としています。個別の状況に応じた判断については、税務署・金融機関・ファイナンシャルプランナーへの相談をご検討ください。


NISAとの組み合わせ戦略については 新NISAの積立設定と出口戦略【2026年版ガイド】 も参考にしてください。

家計全体の見直し方については 家計の固定費削減チェックリスト【毎月5分でできる見直し術】 もあわせてどうぞ。


著者:S

ITサポート職として2年勤務。前職は接客業で、職業訓練校を経てIT転職を実現。現在はIT・家計・副業をテーマに情報をまとめています。NISA・iDeCo・住宅ローンなど家計に関わる制度の情報整理が専門領域。

免責事項:本記事は情報提供を目的としており、投資・財務・税務の助言を提供するものではありません。掲載情報は執筆時点(2026年5月)のものです。制度・税率・金融商品の内容は変更される場合があります。個別の判断については専門家にご相談ください。

【免責事項・情報確認日について】

本記事の情報は2026年5月27日時点のものです。転職・副業・投資(NISA等)に関する制度・サービス内容は変更される場合があります。掲載情報の正確性には努めていますが、最終的なご判断はご自身でご確認のうえ行ってください。本記事は特定のサービスへの加入や投資行動を推奨するものではありません。

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