くらし取説
bokki📖 約8分で読めます

経理職の実務はどんな仕事か【1日・1か月・1年の流れ】

経理職に就いたら毎日・毎月・毎年どんな仕事をするのかを、未経験者向けに整理しました。資格の知識が実務でどう使われるかが見える内容です。

簿記の勉強を始めると、「これって経理の仕事でどう使うの?」という疑問が必ず出てきます。テキストで仕訳をやっていても、実務とどうつながるのかは見えにくい。求人票を読んでも「決算業務」「税務申告」と書かれていて、具体に何をやる仕事なのか掴めません。

経理は、データ入力をひたすら続ける単調な仕事だと思われがちですが、実際は「周期で動く仕事」です。日次・月次・年次という3つのリズムが噛み合って動いている。これが分かると、簿記で学んでいる内容が現場のどこにハマるかが見えてきます。この記事では、経理の1日・1か月・1年の流れと、未経験者がつまずきやすい場所をまとめます。

⏩ 実務イメージを先につかみたい方へ

転職前・学習前にこれだけ押さえれば仕事の輪郭が見えます。

  • 経理は「日次・月次・年次」の周期で動く、決算月の前後が一番忙しい
  • 簿記3級・2級の知識は月次決算で直接効く、年次の税務はそれとは別領域
  • 会計ソフト(freee・マネーフォワード・弥生など)の操作は職場ごとに違う
  • 1日のルーティン

    朝はメールチェックと前日の仕訳確認から始まる職場が多い。前日の伝票で承認が止まっているもの、経費精算で疑義が上がっているものなどを最初に片付けます。

    日中は次のような業務が断続的に入ります。

  • 経費精算の承認・差し戻し
  • 取引先からの入金確認・出金処理
  • 社内からの「この経費はどの勘定科目で?」という質問対応
  • 請求書の発行・受領処理
  • 銀行のネットバンキング操作
  • 月次決算用の証憑整理
  • 「ずっとPCの前で数字を入力している」というイメージとは違って、社内外の人とのやり取りが意外と多い。経費の差し戻しを丁寧にやらないと現場の不満がたまり、入金確認が雑だと取引先との関係に影響します。コミュニケーション力が要らない仕事ではない。

    経費精算アプリ(楽楽精算・マネーフォワード経費・freee経費など)の使いこなしが、日々の効率に直結します。手作業で全部やろうとすると、月次決算前に必ず破綻します。

    1か月の山場:月次決算

    経理の最大のヤマが、月次決算です。月初の数営業日で前月の取引を締めて、月次の試算表・損益計算書を出します。一般的に月初5営業日以内に締めることが目標とされる職場が多い。

    ここで簿記3級・2級の知識が直接効きます。決算整理の考え方、減価償却の処理、勘定科目の選定、未払・前払の振替など、テキストで見たものをそのまま実務でやる。月次決算が早く正確に締められる人は、現場で確実に重宝されます。

    月次決算の主なタスク関連する簿記知識
    売上・仕入の確定商品売買の三分法
    棚卸(月末在庫の評価)棚卸資産の処理
    減価償却費の計上決算整理(3級〜2級)
    未払費用・前払費用の振替経過勘定(3級〜2級)
    試算表・月次P/Lの作成試算表・財務諸表
    経営層への月次報告数字の説明力

    「未払費用と前払費用がごちゃごちゃ」という段階で月次決算に入ると詰まります。簿記3級レベルの経過勘定は、現場で毎月使う。3級の知識が「実務で使わない」というのは誤解です。

    1年の流れ:年次決算と税務

    年に1度の最大の山場が、年次決算と税務申告です。月次決算の集大成プラス、税務申告というまったく別ジャンルの作業が乗ります。

    時期主な業務
    期末2か月前棚卸の準備・債権債務の確認・決算スケジュール調整
    期末直後年次決算・財務諸表の確定・監査対応
    申告期限法人税・消費税・地方税の申告
    通年源泉所得税の毎月納付・住民税の特別徴収
    12〜1月年末調整・法定調書の作成
    6〜7月算定基礎届(社会保険)

    3月決算の会社なら4〜5月、12月決算なら1〜2月が一年で最も忙しいタイミング。この時期は残業が増えがちです。

    年末調整は給与計算と密接で、税務署提出書類が多い。社員数が多いと12月は地獄になる、という話は経理の現場あるあるです。

    つまずきやすい実務領域

    未経験で経理に入ると、簿記の試験範囲ではあまり扱わない領域で必ず最初に詰まります。

    ひとつ目が消費税です。仕入税額控除・課税売上割合・インボイス制度など、簿記試験ではほぼ出ない論点が日常的に出てきます。2023年10月のインボイス制度開始以降、現場の作業量が一段増えました。これは入社後に個別に学ぶ前提でいい。

    ふたつ目が源泉所得税。給与支払時の源泉徴収、報酬支払時の源泉徴収、年末調整、と1年通して登場します。簿記の仕訳練習で「給料 / 現金」と書いていた人が、実務では「給料 / 預り金(所得税)」「預り金 / 現金」と複数の流れを処理する必要に直面する。

    最後が社会保険関連。健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険、それぞれ手続きが異なります。給与計算ソフト(マネーフォワードクラウド給与・freee人事労務など)の使い方とセットで覚える領域です。

    中小と大企業で全然違う

    経理の仕事内容は、会社の規模で大きく変わります。これは求人を見るときに必ず意識すべきポイント。

    規模経理の働き方
    個人事業主・小規模法人(〜10人)経理担当が1人〜社長兼任、何でも屋
    中小企業(10〜100人)経理担当が1〜3人、月次・年次・税務まで全部
    中堅企業(100〜500人)経理5〜10人、業務分担あり
    大企業経理部20人以上、専門領域に細分化

    大企業の経理は「連結担当」「税務担当」「IR担当」と専門化していて、特定領域の深い知識が求められます。中小企業の経理は「全部やる」働き方になりやすく、簿記+税務+給与計算+社会保険、と幅広い知識が要る。

    未経験から入るなら、中堅・中小のほうが「経理の全体像」を経験できる利点があります。大企業は専門性が深まる代わりに、隣の席の業務が見えにくい構造です。

    会計ソフトの違いも実務で効く

    会計ソフトは職場ごとに違います。freee・マネーフォワード・弥生・勘定奉行・PCAなど。操作感はそれぞれ違うので、入社直後は慣れるまで時間がかかります。

    「特定のソフトに詳しい」というのは転職の武器になりにくいので、入社後にその職場のソフトに合わせて覚える、と割り切るのが現実的です。簿記の理解と会計ソフトの操作は別レイヤーの能力なので、ソフトに振り回されすぎない。

    ✅ 今すぐできること(1分)

    求人サイトで「経理 未経験」と検索して、3社の業務内容欄を読み比べてみてください。中小・大企業で求められる範囲がだいぶ違うこと、月次決算・年次決算という言葉が必ず出てくること、会計ソフト名が記載されていること、この3点が見えてきます。

    「経理 未経験 中小企業」「経理 未経験 上場企業」と条件を分けて検索すると、規模ごとの仕事の違いがさらに鮮明になります。年収レンジや残業時間の差も併せて見ておくと、自分の優先順位が整理されます。

    求人票で見るべきポイント

    求人を見比べるときは、「月次決算の有無」「使用している会計ソフト」「経理の人数」をそれぞれ確認してください。月次決算なしの求人は経理事務止まりの可能性が高く、簿記の知識を使う場面が少ない。会計ソフトが古いPCインストール型のままなら、業務効率の改善余地が大きい職場かもしれません。経理人数1人の求人は、未経験で入ると質問できる相手がいない辛さがあるので、最初は2人以上の体制を選ぶのが無難です。

    「自分にできるか不安」のとき

    未経験から経理を目指していて自信がない、という場合は、簿記3級の独学を1か月だけやってみてください。テキスト1冊と問題集1冊で、現場の仕事のイメージはほぼつかめます。3級でつまずくようなら、自分が経理の仕事に向いているか再考する材料になりますし、3級が普通に進むなら、適性ありと判断していい。


    経費精算の集計ツール、月次決算チェックリスト、社内経理向けの軽量アプリなどのご相談はお気軽に。お問い合わせは /contact から。

    執筆:S

    よくある質問

    Q. 経理の仕事は毎月同じ作業の繰り返しですか?

    A. 月次決算・支払業務・経費精算など定型業務が多いですが、年度末決算・税務申告・監査対応など年に数回の繁忙期があります。業務の見通しが立てやすい点は経理の特徴です。

    Q. 経理と財務の仕事の違いは何ですか?

    A. 経理は過去の取引を記録・管理する仕事、財務は将来に向けた資金調達・投資・予算管理を担います。中小企業では同一部門が担うことも多いです。

    Q. 未経験から経理職に転職するために必要なスキルは何ですか?

    A. 簿記3級・Excelの基本操作・会計ソフトの操作経験があると選考で有利です。実務経験のある派遣や契約社員からスタートしてキャリアを積む方法もあります。

    【免責事項・情報確認日について】

    本記事の情報は2026年5月12日時点のものです。転職・副業・投資(NISA等)に関する制度・サービス内容は変更される場合があります。掲載情報の正確性には努めていますが、最終的なご判断はご自身でご確認のうえ行ってください。本記事は特定のサービスへの加入や投資行動を推奨するものではありません。

    #経理職#実務#月次決算#未経験

    この記事をシェアする

    関連記事