ドローン国家資格2等を取ると何が変わるか
2022年12月の航空法改正でドローン国家資格制度が始まった。それから3年が経ち、2025年12月以降は民間資格による申請優遇措置が終了している。つまり今から始めるなら、国家資格一択になっている状況だ。
資格を取った人が増えている理由は単純で、「飛ばせる場所が一気に広がるから」に尽きる。二等無人航空機操縦士を持っていると、人口集中地区(DID)での飛行や夜間飛行が許可・承認申請なしで行えるカテゴリーIIBの運用が可能になる。農業、不動産撮影、イベント撮影——この3つの副業ルートが、資格ひとつで現実的になる。
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費用の内訳:初学者は40〜50万円を見ておく
試験費用だけを見ると3〜5万円程度に見えるが、実際にはスクール講習費がかかる。初学者(ドローン未経験)の場合のリアルな費用感はこうなる。
| 費目 | 金額の目安 |
|---|---|
| スクール講習費(初学者コース) | 30〜40万円 |
| 学科試験手数料 | 9,900円 |
| 実地試験手数料(基本) | 22,200円 |
| 身体検査手数料 | 25,100円 |
| 合計(目安) | 35〜45万円 |
既存の民間資格(JUIDAやDPA等)を持っている人は「経験者コース」が選べる。この場合はスクール費用が10〜20万円台に下がる。すでに民間資格を持っていたり、自分で飛行経験が豊富にある人は、経験者ルートで費用をかなり抑えられる。
ただ一点、正直に言うと「安いスクールを選べばいい」という話でもない。実地試験はスクールを卒業しても別途試験会場で受ける必要があり、合格率が低い場合は再受験費用がかかる。費用だけで選ぶより、講習内容と合格実績をきちんと確認してから申し込む方が結果的に安くつく。
国家資格制度の詳細は国土交通省の公式ポータル(https://www.mlit.go.jp/koku/drone/ )で確認できる。
副業の収入目安:年30〜100万円が現実ライン
資格を取った後の副業パターンは主に3つ。それぞれの単価と仕事の特徴を整理した。
| 副業の種類 | 単価の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 農業向け農薬散布 | 数千〜1万円/1ha | 春〜秋に集中。農家とのルートが必要 |
| 不動産物件撮影 | 3〜5万円/1件 | 年間通じて需要あり。機材費がかかる |
| イベント・ブライダル撮影 | 3〜10万円/1件 | 単価が高い。実績・ポートフォリオが重要 |
農業向けは案件数が多いが、春秋の農繁期に集中する。副業の「安定した副収入」という観点では、不動産撮影が最もバランスがよい。年間20〜30件撮影すれば60〜150万円になる計算だが、最初の1〜2年は実績ゼロからのスタートなので案件獲得に時間がかかる。
副業のKPIを「月1万円」から始めるなら、まず農業散布の農家コネクションを地元で1〜2件作ることが現実的な最初の一歩だ。
→ 副業で月1万円から始める現実的な選び方はこちらの記事も参考になる。
二等が向いている人・向いていない人
資格の取得を勧める前に、向き不向きをはっきりさせておきたい。
向いている人:
- 農業・不動産・イベント業界にコネクションや興味がある
- 機材費(カメラ付きドローンで30〜100万円)を工面できる
- 週末のみでも定期的に稼働できる時間がある
- 高所・屋外作業に体力的・精神的に問題がない
向いていない人:
- 「なんとなく資格を取ってから考える」パターン
- 機材購入費を含めた初期投資の回収計算ができていない
- 副業解禁されていない会社に勤めていて、就業規則を確認していない
副業ドローンの失敗パターンで最も多いのが「資格は取ったが案件が取れない」「機材費の回収ができない」の2つ。資格取得前に「誰から仕事を受けるか」を少しでも見えている状態にしておくのが現実的だ。
二等と一等の違い:最初はほぼ二等で十分
たまに「一等の方がいいのでは」という質問が来るが、最初は二等で十分だと断言できる。
一等が必要なのは、第三者の真上(立入管理区画なし)を飛行するカテゴリーIIIの運用が必要な場面だ。インフラ点検の専門業者や橋梁・鉄塔の保守企業向けの業務ではなければ、当面は二等の資格が対応範囲に収まる。
費用も一等は初学者で50〜80万円以上になるケースがある。副業スタートなら二等で始め、業務の範囲が広がった段階でステップアップを検討するのが現実的な順序だ。
実際の試験フロー
試験は「学科試験」「実地試験」「身体検査」の3つで構成される。スクールを修了することで一部の試験が免除になる「登録講習機関」制度を利用するのが一般的なルートだ。
- 1登録講習機関のスクールを探して申し込む
- 2学科講習(オンライン可)→ 修了審査
- 3実地講習 → 修了審査
- 4学科試験(PCでのCBT試験。全国のテストセンターで受験)
- 5実地試験(指定の試験会場で受験)
- 6身体検査(指定医療機関で受診)
- 7申請・ライセンス交付(無人航空機操縦者技能証明書)
学科試験は「無人航空機操縦士試験機関(DIPS)」から日程を確認して申し込む。スクールの修了証があれば実地試験の一部が免除になるので、講習機関を選ぶ際は「DIPS認定の登録講習機関か」を必ず確認する。
副業の確定申告については、副業収入が年20万円を超えた場合は申告が必要になる。基本的な申告の流れはこちらの記事でまとめている。
よくある質問
Q. 民間資格(JUIDAなど)を持っていれば国家資格は不要ですか?
A. 2025年12月以降、民間資格による航空法の許可・承認申請の優遇措置は終了しています。今後DID飛行や夜間飛行を業務で行うには、国家資格の取得が実質的に必要です。民間資格は経験者コースへの入門として活用できますが、業務利用を前提とするなら国家資格への移行を検討してください。
Q. 独学で受験することはできますか?
A. 学科試験はCBT方式のため、独学で合格することは可能です。ただし実地試験はスクール修了証がないと難易度が上がり、かつ試験免除制度も使えません。コスト面で独学を検討する場合も、実地対策だけはスクールを活用する「一部受講」の選択肢を検討してください。
Q. ドローン副業に必要な機材費はいくらくらいですか?
A. 農業散布用なら農薬散布専用ドローンが30〜100万円、不動産・イベント撮影用のカメラドローン(DJI Mavic 3等)は20〜50万円台が目安です。機材の減価償却・保険・メンテナンス費も含めた収支計算を、受注見込みと合わせて事前に行ってください。
Q. 副業でドローンをやるなら何から始めるべきですか?
A. ①就業規則で副業可否を確認する ②地元の農家・不動産業者に副業ニーズがあるか非公式にリサーチする ③スクールの費用・合格実績を3社以上比較する——この順番が現実的です。案件が取れそうな手応えがあってから本申し込みに進むことで、「資格を取ったが使わなかった」を防げます。
Q. 国家資格の有効期間はありますか?
A. 3年ごとの更新が必要です(身体検査・定期講習等)。更新費用も発生するため、年間の稼働計画と合わせて維持コストを計算に入れておくことをお勧めします。
まとめ
✅ 今すぐできること(1分)
国土交通省のドローン国家資格ポータル(https://www.mlit.go.jp/koku/drone/ )を開いて、「登録講習機関一覧」から自分の地域のスクールを1〜2社確認してみてください。費用と修了後の合格実績が比較できます。
ドローン国家資格二等は、副業としての入口が明確な資格だ。農業・不動産・イベントの3ルートのうち、自分が動ける市場がどこかをイメージしてから受講スクールを選ぶ。
費用は初学者で40〜50万円かかるが、不動産撮影を年20件こなせば1年以内の回収も現実的なラインになる。「資格だけ取る」ではなく「資格で何を売るか」を先に決めてから動き始めるのが、投資対効果を最大化する唯一の方法だ。
Googleトレンド急上昇(2026年5月14日取得):「ドローン」「国家資格」
執筆:S