ドル円が161円台まで進みました(日本銀行 外国為替市況、2026年6月)。2026年5月の158円台からさらに円安が加速し、「円安のときに外国株を買うのは損ではないか」と迷う声がいっそう増えています。NISAでの積立を止めるべきか、いったん様子を見るべきか——判断に悩む人が多いテーマです。
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- 続けるか迷っている → 「積立を続ける理由」セクションへ
- 円高が来たら不安 → 「円高に転じたら」セクションへ
- 口座をこれから開く → 「証券口座の選び方」セクションへ
先に結論を書きます。長期の積立を前提にするなら、円安でも淡々と続けるのが合理的です。理由を順番に見ていきます。
01 円安161円台、NISAへの影響は
外国株(米国株・全世界株など)は円で買いますが、中身の価値はドルなどの外貨建てです。円安のときに買うと、同じドル資産でも円では高く払うことになります。
1株100ドルの株を例にすると、こうなります。
- 1ドル=130円のとき:13,000円で購入
- 1ドル=158円のとき:15,800円で購入
- 1ドル=161円のとき:16,100円で購入
円安が進むほど、同じ株を買うのに多くの円が要ります。数字だけ見ると「高づかみ」に思えるかもしれません。ただ、これはあくまで「いま買う瞬間」の損得です。10年・20年と続ける積立では、見え方がまったく変わってきます。
02 なぜ今これほど円安が進んでいるのか
円安の主因は、ここ数年つづく日米の金利差です。米国の金利が日本より高い状態が続くと、利回りの高いドルが買われ、円が売られやすくなります。
2026年に入ってからは、中東情勢も円安を後押ししました。2月末以降、有事のドル買いが報じられ、6月にかけて161円台まで進んでいます(日本銀行 外国為替市況、2026年6月)。一方で、為替が一本調子で進み続けるとは限りません。野村證券は2026年末のドル円見通しを152.5円としており、年後半に円高方向へ振れる可能性も指摘されています(野村證券 ウェルスタイル、2026年)。
ここで大事なのは、こうした見通しは外れることも多いという点です。プロの予想ですら割れています。だからこそ、為替の先読みに賭けるより、為替が動いても続けられる仕組みを作る方が現実的です。投資をこれから始める人は、制度や商品の全体像を先に整理しておくと、為替のニュースに振り回されにくくなります。準備の手順は新NISAを始める前に整える3つのことにまとめています。
03 円安でも積立を続ける合理的な理由
ドルコスト平均法という考え方があります。価格や為替に関係なく、毎月一定額を買い続ける方法です。
- 円安のとき → 高いので少ない株数を買う
- 円高のとき → 安いので多くの株数を買う
この繰り返しが、平均の購入コストをならす働きをします。毎月の為替を当てにいくより、機械的に積み立てる方が、長期では結果が安定しやすいと言われています。
もう一つ見落とされがちな点があります。外国株を持っていること自体が、円安への備えになるということです。円安が進むほど、手元の外貨建て資産は円換算で増えます。給料も預金も円だけ、という人ほど、外貨建て資産は通貨の分散として意味を持ちます。
04 円安時に気をつける3つのこと
続けるのが基本とはいえ、円安局面ならではの注意点はあります。
- 1一括投資は急がない。円安のピーク付近でまとまった額を一度に入れると、その後の円高で含み損を抱えやすくなります。時間を分けて積み立てる方が安全です。
- 2国内資産も一部持つ。すべてを外国株にすると、為替リスクに偏ります。日本株や債券を混ぜて、片寄りをやわらげましょう。
- 3慌てて解約しない。円高に戻ると、外国株の円換算額は一時的に下がります。短期では損に見えても、長期の積立では途中の上下は平均化されていきます。
05 円高に転じたらどうする
いま不安なのは円安ですが、半年後・1年後に円高へ振れる場面も当然あり得ます。そのとき外国株の評価額は円換算で目減りします。ここで多くの人が「やっぱり売っておけばよかった」と感じます。
ただ、長期投資の答えはシンプルです。円高でも、やることは変わりません。円高は「同じ額でより多くの株数を買えるチャンス」でもあります。ドルコスト平均法は、この円高の局面でこそ効いてきます。為替が上がっても下がっても積立額を変えない——これが続けるコツです。どうしても判断に迷うときは、iDeCoとの優先順位を含めてiDeCoと新NISAどちらを優先すべきかも判断材料になります。
06 円安時の資産配分の考え方
| 資産クラス | 円安の影響 | 円高の影響 |
|---|---|---|
| 外国株(全世界株・S&P500) | 円換算で上がる | 円換算で下がる |
| 国内株 | 輸出企業は恩恵・内需は影響少 | 輸出企業には逆風 |
| 国内債券 | 影響は小さい | 影響は小さい |
| 金(ゴールド) | ドル建てのため円安で上昇 | 円換算で下がることも |
長期の積立なら、全世界株インデックスファンドのように「円安でも円高でも中で自動的に分散される」商品を選ぶと、為替の影響をならしやすくなります。1本で先進国も新興国も含むため、為替と国の偏りを同時に薄められるのが強みです。
07 新NISAの基本をおさえる
円安の議論に入る前に、制度の土台を確認しておきます。2024年に始まった新NISAは、年間の投資枠が最大360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)、生涯の非課税保有限度額が1,800万円です。非課税の期間は無期限で、いつ始めても長期で使える設計になっています。
初心者がつまずきやすいのは、制度の細部より「何をどの順で決めるか」です。証券会社を選ぶ、口座を開く、商品を1本決める、積立額と日付を設定する——この流れを一度つかめば、あとは自動です。全体像をざっと頭に入れるには、図解中心の入門書を1冊通すのが手っ取り早く、口座開設の前に読んでおくと迷いが減ります。
08 証券口座の選び方
| 証券会社 | 全世界株インデックスの信託報酬 | ポイント還元 |
|---|---|---|
| SBI証券 | 0.05775%(eMAXIS Slim全世界株) | Vポイント等 |
| 楽天証券 | 0.05775%(同上) | 楽天ポイント |
| マネックス証券 | 0.05775%(同上) | マネックスポイント |
主要3社の信託報酬はほぼ横並びです。普段使うポイントや、連携しやすい銀行で選んで問題ありません。楽天経済圏なら楽天証券、三井住友カードを使うならSBI証券、という決め方で十分です。口座開設の具体的な手順は楽天証券でNISA口座を開く全手順で画面に沿って解説しています。
よくある質問
Q. 円安のうちに外国株を全部売った方がいいですか?
A. 長期投資が前提なら、売るタイミングを為替で決めるのはおすすめしません。「円安で売って円高で買い直す」作戦は為替の予測が前提で、プロでも安定して当てるのは難しいからです。
Q. 円安がさらに進んだらどうなりますか?
A. 外国株を持っている分は、円換算の評価額が上がります。ただし円安が解消に向かう局面では逆に動きます。長期では為替より、投資先企業の成長が資産価値を決める主因になります。
Q. NISAで日本株だけにするのはありですか?
A. ありです。日本株も新NISAの対象です。ただ一国に集中するとリスクは高まりがちです。日本株と外国株を組み合わせる分散が、一般には推奨されています。
Q. 為替ヘッジ型のファンドを選んだ方がいいですか?
A. 長期投資では、ヘッジコスト(年0.5〜1%程度)がかかるため、ヘッジなしのインデックスを選ぶ人が多数です。短期の為替変動をどうしても避けたい場合はヘッジありも選択肢になります。
Q. 161円台の今は、積立を一時停止して待つべきですか?
A. 待つ判断は、結局「この先円高になる」という予測に賭けることになります。前述のとおり為替予測は外れやすく、止めている間に上昇相場を逃すリスクもあります。淡々と続ける方が、長期では機会損失を防ぎやすいです。
Q. 円安でも積立額を増やすべきですか?
A. 生活防衛資金が確保できていて余剰資金があるなら、増やすこと自体は合理的です。ただし「円安だから急いで」という理由で増やすのは避け、最初に決めた方針に沿って淡々と進める方が無難です。
まとめ
✅ 今すぐできること(1分)
今月のNISA積立が設定されているか確認してください。設定済みなら、為替ニュースを見ても何もしないのが正解です。まだの人は、SBI証券か楽天証券で毎月の積立を設定するところから始めましょう。
円安161円台でも、長期の積立なら続けるのが合理的です。為替に毎月振り回されるより、決めた額を機械的に積み立てる方が、精神的にも結果的にも報われやすい——これは円安でも円高でも変わらない原則です。まずは自分の積立設定を一度だけ見直し、あとは相場を気にしすぎないことが、いちばんの近道になります。
著者:S
出典:日本銀行 外国為替市況(2026年6月)https://www.boj.or.jp/statistics/market/forex/fxdaily/fxlist/index.htm 、野村證券 ウェルスタイル「2026年末の米ドル円見通し」(2026年)https://www.nomura.co.jp/wealthstyle/article/0676/ 、外為どっとコム(2026年5月15日)、Googleトレンド急上昇(2026年5月15日取得)