未経験からIT業界を目指すとき、最初の資格としてよく挙がるのがITパスポートと基本情報技術者試験だ。どちらから取るべきか迷う人は多い。結論を先に言えば、IT初心者はITパスポートから入るのが無理のないルートになる。両者の難易度と位置づけを正しく知れば、遠回りせずに済む。
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- 2つの試験の違いと難易度
- どちらから受けるべきか
- 今すぐできること
結論から言うと、IT知識がほぼゼロの状態ならITパスポート、ある程度の基礎があって開発寄りを目指すなら基本情報、という選び方になる。基本情報は2023年から通年で受けられるようになり、挑戦しやすさは上がっている。
2つの試験の違いと難易度
どちらも国家試験(情報処理技術者試験)で、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が実施している。位置づけと難易度がはっきり違う。
ITパスポートは、社会人・学生など「すべての人」を対象にしたIT入門の資格だ。ITの基礎知識に加え、経営やマネジメントの一般知識も問われる。一方、基本情報技術者は「ITエンジニアの登竜門」とされ、アルゴリズムやプログラミングの考え方など、より技術寄りの内容が含まれる。
合格率にも差がある。IPAの公表によると、令和6年度の合格率はITパスポートが49.1%、基本情報技術者が40.8%だった(IPA 情報処理技術者試験、https://www.ipa.go.jp/shiken/ )。数字だけ見ると近いが、出題範囲の深さと必要な学習量は基本情報のほうが明確に大きい。
| 項目 | ITパスポート | 基本情報技術者 |
|---|---|---|
| 対象 | すべての社会人・学生 | IT技術者を目指す人 |
| 内容の重心 | IT・経営の基礎知識 | 技術寄り(アルゴリズム等を含む) |
| 令和6年度合格率 | 49.1% | 40.8% |
| 試験方式 | 通年CBT | 通年CBT(2023年4月〜) |
| 学習量の目安 | 比較的少なめ | ITパスポートより多い |
基本情報は2023年4月から通年でCBT方式(パソコンで随時受験)になり、試験時間も短縮された。受けたいタイミングで予約できるため、以前より計画を立てやすくなっている。
どちらから受けるべきか
迷ったときの判断軸はシンプルだ。「今のIT知識の量」と「目指す職種」で決める。
ITパスポートから始めるのが向いている人
- ITの専門用語にほとんど触れたことがない
- まずIT全体の地図をつかみたい
- ITサポート・社内SEなど、開発以外の職種も視野にある
- 学習の成功体験を先に作ってモチベーションを上げたい
基本情報から狙ってよい人
- すでにITパスポート相当の基礎知識がある
- 開発・エンジニア職を明確に目指している
- ある程度まとまった学習時間を確保できる
未経験者の多くは、いきなり基本情報に挑むと範囲の広さと技術用語の多さで失速しやすい。先にITパスポートで土台を作ってから基本情報に進むと、専門用語への抵抗が減り、結果的に近道になることが多い。
ただし、すでにIT基礎がある人や、開発職を最短で目指したい人が、ITパスポートを飛ばして基本情報から受けるのも選択肢だ。「全員がITパスポートから」という決まりはない。自分の現在地で判断する。
なお、転職での評価という観点では、ITサポートやヘルプデスク職の応募ではITパスポートでも学習意欲を示せるが、開発職では基本情報のほうが評価されやすい傾向がある。志望職種に合わせて選ぶと、学習が転職に直結する。
合格までの学習の進め方
どちらの試験も、進め方の基本は同じだ。テキストを最初から完璧に読み込もうとすると、範囲の広さで途中で力尽きやすい。次の順序が効率的になる。
- 1テキストを一周、流し読みして全体像をつかむ(完璧を目指さない)
- 2早い段階で過去問・予想問題に触れ、出題の形に慣れる
- 3間違えた分野をテキストに戻って重点的に復習する
- 4過去問を繰り返し、安定して合格点を超えるまで仕上げる
ポイントは、インプット(読む)に時間をかけすぎず、早めにアウトプット(解く)に移ることだ。問題を解くと「どこが理解できていないか」がはっきりするため、復習の的が絞れる。とくに基本情報の科目Bは、問題演習を重ねて形式に慣れることが合格に直結する。
通年CBT方式になったことで、自分の学習の仕上がりに合わせて受験日を予約できる。「この日までに仕上げる」という締め切りを自分で設定すると、学習のペースを保ちやすくなる。
ChatGPTを試験勉強の相棒にする
どちらの試験でも、わからない用語や概念をかみ砕いて理解する場面でAIが役立つ。
ITパスポート(または基本情報技術者)の勉強をしています。
次の用語を、IT初心者にもわかるように、身近なたとえを使って
説明してください。そのうえで、試験で問われやすいポイントを
1〜2個挙げてください。
【わからない用語】(ここに貼り付け)ただし、AIの説明は理解の入口として使い、過去問や公式シラバスで必ず裏を取る。AIは細部で間違えることがあり、試験範囲や出題傾向は公式情報が正確だ。AIで「ざっくりわかる」状態を作り、問題演習で「正確に解ける」状態に仕上げる、と役割を分けるとよい。
体系立てて学びたい場合は、スタディングなどの通信講座を使うと、出題範囲に沿った順序で進められる。独学が続かないタイプなら、講座の併用も検討したい。
よくある質問
Q. ITパスポートと基本情報、両方取る意味はありますか?
A. あります。ITパスポートで基礎を固めてから基本情報に進むと、学習がスムーズです。ただし開発職を急ぐ場合や、すでに基礎がある場合は、ITパスポートを飛ばして基本情報から受けても問題ありません。
Q. 未経験の転職にはどちらが有利ですか?
A. 職種によります。ITサポート・ヘルプデスク職ではITパスポートでも意欲を示せますが、開発・エンジニア職では基本情報のほうが評価されやすい傾向です。志望職種に合わせて選ぶのがおすすめです。
Q. 基本情報はいつでも受けられますか?
A. 2023年4月から通年のCBT方式になり、随時予約して受験できます。自分の学習ペースに合わせて試験日を決められるため、計画が立てやすくなっています。
Q. プログラミングができないと基本情報は無理ですか?
A. 高度なプログラミング能力は不要ですが、アルゴリズムやプログラムの考え方を問う科目があります。未経験者は、その分野の学習に時間がかかる傾向があるため、基礎から順に進めるのが現実的です。
Q. ITパスポートだけでIT転職はできますか?
A. ITパスポート単体で転職が決まるわけではありませんが、未経験者が学習意欲と基礎知識を示す材料にはなります。職種によっては十分に評価され、実務経験や面接と組み合わせて活きます。
まとめ
✅ 今すぐできること(1分)
自分の今のIT知識が「専門用語にほぼ触れたことがない」か「基礎は何となくわかる」か、どちらかを判断してください。前者ならITパスポート、後者で開発志望なら基本情報が出発点になります。現在地を決めるだけで、最初の一冊が選べます。
ITパスポートと基本情報は、難易度も位置づけも違う。IT初心者はパスポートで土台を作り、開発を目指すなら基本情報へ。合格率や試験方式の最新情報はIPAの公式で確認しつつ、自分の現在地と志望職種で出発点を選べば、遠回りせずに進める。
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執筆:S