基本情報技術者試験(FE)は、IT業界の入口を確かめるのに使いやすい国家資格です。独学で合格している人は多いのですが、未経験から挑むと「どこから手をつけるか」「どの順番で進めるか」で詰まります。最初の1か月で挫折する人が多いのは、たいてい順序の問題です。
幸い、ここ数年でCBT方式(通年受験)になり、学習進捗に合わせて受験日を調整できるようになりました。情報処理推進機構(IPA)の公式情報(https://www.ipa.go.jp/shiken/kihonjouhou/index.html ・IPA、2026年確認)を踏まえて、未経験者向けの現実的な学習順序を整理します。
⏩ 最短ルートが知りたい方へ
全体を通すと半年前後の戦いになります。骨格はこの3つです。
試験の全体像
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 形式 | CBT(通年受験) |
| 科目A | テクノロジ・マネジメント・ストラテジ系の知識問題 |
| 科目B | アルゴリズム・情報セキュリティ |
| 試験時間 | 科目A 90分・科目B 100分 |
| 学習目安 | 100〜200時間(IT経験により変動) |
| 合格率 | おおむね40〜50%前後 |
CBT化されてから、いつでも受験できるようになりました。学習が進んだ時点で受けに行けるので、計画が立てやすい資格です。逆に、いつでも受けられるから先延ばしになりやすい、という落とし穴もあります。学習開始時に「3か月後に1回目を受ける」とカレンダーに入れてしまうのが続けるコツです。
独学のおすすめ順序
未経験者の場合、次の順序で進めると挫折率が下がります。
ステップ1:科目Aの基礎を1冊で総ざらい
ITパスポート未取得の人は、まずITパスポート向けのテキストで全体像を1〜2週間で押さえてから、基本情報のテキストに入ると詰まりにくい。「先にITパスポートに合格してから基本情報」と本格的に2段にする必要はないですが、用語の地ならしは必要です。
すでにITに触れている人は、いきなり基本情報のテキスト(キタミ式・栢木先生・ニュースペックなど)から入って大丈夫です。テキストを買い替える人ほど受からない、というのは独学の経験則。1冊を3周回すまで他に手を出さない、と決めておく。
ステップ2:科目Bのアルゴリズムに早めに着手
科目Bの試験時間は100分で、アルゴリズム16問・情報セキュリティ4問というボリューム。1問あたり5分のペースで読み解く必要があります。これは慣れていないと厳しい。
科目Aだけ先に固めて、後半に科目Bを始める順序にすると、本番直前に「擬似言語が読めない」と気づいて時間が足りなくなる。1〜2週目から科目Bの練習を少しずつ並走させるのが、現実的な配分です。擬似言語の読解は慣れるまでが一番つらい部分なので、YouTubeの無料解説動画を併用すると進みが早くなります。
ステップ3:過去問題の周回
過去問道場(https://www.fe-siken.com/fekakomon.php ・運営者個人、2026年確認)が定番です。スキマ時間にスマホから解けるので、平日の通勤で科目A、休日に科目Bという分け方がしやすい。
過去問道場で正答率70%を安定して出せるようになれば、本番でも合格圏に届きます。逆に、正答率50%台で停滞しているなら、テキストに戻って苦手分野を埋めるほうが先です。問題を解きまくるだけでは、知識の穴は埋まりません。
ステップ4:模試で時間配分を確認
本番1〜2週間前に、模試形式で本番の時間配分を1回通します。CBTなので家でやる必要はなく、有料模試(TAC・大原・FOM出版など)で慣れておくと、本番の操作感に動揺せずに済みます。
つまずきやすい分野
未経験者がいちばん詰まるのは「アルゴリズム」と「ネットワークの基礎」です。
アルゴリズムは紙とペンで処理を1ステップずつ追う癖がつくと、一気に楽になります。頭の中で全部処理しようとすると、ループの中でカウンタを見失う。下書き用紙にトレース表を書く習慣を、最初のうちにつけておくのが鉄則です。
ネットワークはOSI参照モデルとTCP/IPの対応で混乱する人が多い。図と表で覚えて、各層に「何が住んでいるか」を視覚的に紐づけます。たとえばHTTPはアプリケーション層、TCP/UDPはトランスポート層、IPはネットワーク層、というふうに。テキストの図を1枚コピーして、机の前に貼っておくのも有効です。
情報セキュリティは暗記項目が多く、3周目以降に詰めて覚える分野になります。1周目で全部覚えようとすると挫折するので、最初は流して、2〜3周目で深掘りする。
受験のタイミングと再受験
CBT方式の合格発表は基本的に試験当日(成績はその場、合否通知はメール)です。落ちても再受験まで30日空ければ何度でも受けられます。「準備不足で受けて落ちる」を繰り返すと受験料が累積するので、過去問道場で正答率70%を安定して出せるようになってから初回を受けるのが、コスパの良い進め方です。
なお、午前免除制度(特定の研修修了で科目Aを免除)もありますが、独学者は基本的に対象外です。
受験料と独学に必要な合計コスト
独学で合格までに使うお金の目安は、次の通りです。
| 項目 | 概算 |
|---|---|
| 受験料 | 7500円(税込・1回あたり) |
| テキスト1冊 | 2000〜3000円 |
| 過去問題集1冊 | 1500〜2500円 |
| 過去問道場 | 無料 |
| 動画講座(任意) | 無料〜数万円 |
独学でテキストと問題集だけなら、合計1万円ちょっとで挑戦できます。学習に1万円、受験料に7500円。これを2回受験まで含めても、3万円以下で取れる国家資格は意外と少ない。
ただし、「不合格だったら次に受ける」を繰り返すと受験料が累積するので、過去問道場で正答率70%を安定させてから初回を受けるのが、最終的にコスパが良い順序です。
取った後のキャリア接続
基本情報技術者は、IT業界の入口資格として位置づけられています。取った後の進路としては、次のステップが定番です。
未経験から転職する場合、基本情報+ベンダー資格1つ(AWSのCLFなど)の組み合わせが、書類選考で評価されやすい構成です。応用情報まで進むかは、現職や転職後の業務で必要に応じて、というのが現実的な選択。
✅ 今すぐできること(1分)
過去問道場のサイトを開き、科目Aの問題を1問だけ解いてみてください。意味がわからない用語が多いほど、テキスト1冊から始める価値があります。逆に、半分以上が「あ、これ知ってる」と感じるなら、いきなり過去問演習から入っても大丈夫です。
自分の現在地を測ってから学習計画を立てる、これだけで無駄な遠回りが減ります。
学習が止まってしまった場合
「3週目で過去問が思ったほど解けず、やる気をなくした」という状態は、未経験者の標準的な経過です。ここで止めずに、テキストを章ごとに読み直す→該当章の過去問を10問だけ解く、というサイクルに切り替えてください。1章ずつ進めるほうが、全範囲を回そうとするより手応えが出ます。
過去問道場の「成績」機能を使って、自分の弱点分野を可視化するのも有効です。苦手分野が分かれば、テキストの該当章だけ重点復習できる。やみくもに全範囲を回すより、ピンポイントで穴を埋めるほうが、合格への距離が縮まります。
学習進捗を見える化するアプリ、苦手分野の集計ツール、模試の点数管理スプレッドシートなどのご相談はお気軽に。お問い合わせは /contact から。
執筆:S
よくある質問
Q. 基本情報技術者試験は、1日何時間勉強すれば何ヶ月で合格できますか?
A. IT未経験者で1日1〜2時間、4〜6ヶ月が一般的な目安です。科目A(知識問題)と科目B(アルゴリズム・情報セキュリティ)を並行して学習することで効率が上がります。
Q. 基本情報技術者の科目AとBはどちらが難しいですか?
A. 多くの人が科目B(疑似言語を使ったアルゴリズム問題)に苦戦します。科目Aは暗記と理解で対応できますが、科目Bは実際にプログラムを追いかける練習が必要です。
Q. 基本情報技術者試験はCBT方式になったことで、受験しやすくなりましたか?
A. なりました。通年受験が可能になり、自分のペースで学習→受験できます。不合格でも30日後に再受験できるため、科目ごとに対策を立てやすくなっています。