個人事業主・フリーランスが確定申告で経費を正しく計上できているか、50項目のチェックリストで一気に確認できます。
「なんとなくで申告してきた」「もしかして漏れがある?」そういう人こそ、一度立ち止まってほしい。計上漏れは、払わなくてよかった税金を払い続けることになる。
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そもそも「経費」とは何か
事業の収益を得るために使った費用のこと。税務上は「必要経費」と呼ぶ。収入から経費を引いた金額(所得)に税金がかかるため、正しく計上できるほど納税額は下がる。
ただし、ここに大きな落とし穴がある。「なんとなく仕事に使った気がする」では経費にならない。事業との関連性が説明できる支出だけが対象になる。これが、経費判断で多くの人が迷う理由だ。
経費50項目チェックリスト一覧
カテゴリ別に整理した。すべて確定申告書の「必要経費」欄への記載対象になりうる項目だ。ただし、事業との関連性・業種・利用実態によって判断が変わるものもある。詳細は後述の判断基準表と合わせて確認してほしい。
通信費(6項目)
| # | 項目 | 備考 |
|---|---|---|
| 1 | 携帯電話の月額料金 | 仕事専用なら全額。兼用なら按分 |
| 2 | インターネット回線費 | 自宅兼オフィスなら按分 |
| 3 | Wi-Fiルーター購入費 | 10万円未満なら消耗品費 |
| 4 | クラウドストレージ利用料 | Google One・Dropbox等 |
| 5 | Zoom・オンライン会議ツール | 有料プランの月額 |
| 6 | 050番・IP電話サービス | 事業用に取得した場合 |
交通費(5項目)
| # | 項目 | 備考 |
|---|---|---|
| 7 | 電車・バス料金 | 取引先往来・打ち合わせ分 |
| 8 | 新幹線・特急料金 | 出張業務に限る |
| 9 | タクシー料金 | 業務上やむを得ない場合 |
| 10 | 高速道路料金(ETC) | 業務利用分のみ |
| 11 | ガソリン代 | 車が事業兼用なら按分 |
書籍・情報収集費(4項目)
| # | 項目 | 備考 |
|---|---|---|
| 12 | 業務関連の書籍・専門誌 | 趣味目的はNG |
| 13 | 電子書籍(Kindle等) | 業務関連タイトルのみ |
| 14 | 有料メルマガ・オンラインメディア | 業務情報収集目的 |
| 15 | セミナー・勉強会の受講費 | 業務に関わるスキルアップ |
ソフトウェア・サブスク(6項目)
| # | 項目 | 備考 |
|---|---|---|
| 16 | Adobe Creative Cloud | デザイン・映像系の場合 |
| 17 | Microsoft 365 | 事業利用分 |
| 18 | 会計ソフト(freee・マネフォ等) | 全額経費になりやすい |
| 19 | ChatGPT Plus・Claude Pro | 業務活用が明確なら可 |
| 20 | プロジェクト管理ツール | Notion・Asana等の有料プラン |
| 21 | セキュリティソフト | 事業用端末の保護目的 |
機器・備品(設備費・消耗品費)(7項目)
| # | 項目 | 備考 |
|---|---|---|
| 22 | パソコン | 10万円以上なら減価償却 |
| 23 | モニター・キーボード等の周辺機器 | 10万円未満なら消耗品費 |
| 24 | カメラ・マイク(動画・音声制作用) | 業種に合えば対象 |
| 25 | プリンター・インク代 | 事業利用分 |
| 26 | ヘッドセット・スピーカー | オンライン商談等に使用 |
| 27 | 机・椅子(ホームオフィス用) | 事業兼用なら按分 |
| 28 | 照明器具(仕事部屋用) | 按分で対応 |
家賃・光熱費(按分が必要な費用)(4項目)
| # | 項目 | 備考 |
|---|---|---|
| 29 | 家賃(自宅兼事務所) | 業務使用割合で按分 |
| 30 | 電気代 | 業務時間・スペース比で按分 |
| 31 | 水道代 | 業種による(料理・清掃系等) |
| 32 | ガス代 | 原則、業務との関連性が必要 |
交際費・接待費(3項目)
| # | 項目 | 備考 |
|---|---|---|
| 33 | 取引先との飲食費 | 1人あたり1万円が目安。領収書必須 |
| 34 | 手土産・贈答品 | 取引先への慣行的なもの |
| 35 | オンライン商談後のギフト | 送付目的が業務関係なら対象 |
広告・宣伝費(5項目)
| # | 項目 | 備考 |
|---|---|---|
| 36 | SNS広告費(X・Meta等) | 事業宣伝目的 |
| 37 | Google広告費 | リスティング広告等 |
| 38 | ホームページ制作・保守費 | 事業用サイトのみ |
| 39 | ドメイン・サーバー代 | 事業サイト維持費 |
| 40 | 名刺作成費 | 事業名刺に限る |
外注費・業務委託費(3項目)
| # | 項目 | 備考 |
|---|---|---|
| 41 | ライター・デザイナーへの依頼費 | 支払い証明を保管 |
| 42 | システム開発の外注費 | 事業用ツール開発 |
| 43 | 記帳代行・経理外注費 | 税理士への記帳依頼等 |
税務・法務・士業費用(3項目)
| # | 項目 | 備考 |
|---|---|---|
| 44 | 税理士報酬 | 確定申告・記帳代行 |
| 45 | 行政書士・司法書士費用 | 事業関連の手続きに限る |
| 46 | 各種登記・申請手数料 | 事業用の費用のみ |
保険料・その他(4項目)
| # | 項目 | 備考 |
|---|---|---|
| 47 | 損害賠償保険(フリーランス向け) | 業務起因リスクへの備え |
| 48 | 事務所(仕事部屋)の火災保険 | 按分で対応 |
| 49 | 振込手数料・決済手数料 | 事業取引に関わるもの |
| 50 | 銀行口座・クレカの年会費 | 事業専用口座・カードに限る |
経費になる・ならないの判断基準
「これって経費になりますか?」という問いへの答えは、実は一つの軸で考えると整理しやすい。事業に直接関係しているかどうか、それだけだ。
ただし、「関係している」の線引きが難しいものが多いのも事実で、迷ったときは以下の比較表を参考にしてほしい。
| 状況 | 経費になる | 経費にならない |
|---|---|---|
| カフェでの飲食 | 取引先との打ち合わせで利用、領収書あり | 一人での作業(趣旨不明確)、または娯楽目的 |
| 書籍 | 業務直結の専門書(エンジニアの技術書等) | 趣味・一般教養の本 |
| 旅行費 | 取材・出張が目的で記録あり | 観光が主目的の旅行 |
| ジム・スポーツクラブ | 原則NG(例外は職種による) | 体調管理目的の個人的な費用 |
| スーツ・作業着 | 制服・作業着として業務専用 | 私服兼用のスーツ(個人的な衣服) |
| 携帯電話 | 事業専用端末なら全額 | 私用がほとんどで仕事は少し |
| 食費 | 原則NG(取引先接待は交際費) | 日常の食事・自炊代 |
| セミナー受講費 | 業務スキルに直結する研修 | 趣味の習い事・スキルと無関係な講座 |
家事按分の考え方と計算例
自宅でも仕事する人にとって、按分は避けて通れない。家賃・光熱費・インターネット代など、プライベートと仕事が混在する費用は「使用割合」に基づいて経費分を計算する。
按分の計算方法(2パターン)
面積で按分する方法と、時間で按分する方法がある。どちらを使うかは費用の性質によって判断する。
面積按分(家賃・火災保険向き)
経費額 = 月額費用 × (仕事部屋の面積 ÷ 自宅全体の面積)
例:家賃8万円、自宅60㎡、仕事部屋12㎡の場合
→ 8万円 × (12 ÷ 60)= 16,000円が経費
時間按分(電気代・インターネット代向き)
経費額 = 月額費用 × (1日の業務時間 ÷ 24時間)
例:電気代1万円、1日8時間を仕事に使う場合
→ 1万円 × (8 ÷ 24)≒ 3,333円が経費
按分の根拠は、税務調査があったときに説明できる形で残しておくのが鉄則だ。フロアマップのメモ、作業時間の記録、どちらも手元に置いておきたい。
見落としやすい経費・よくある計上漏れ
長年申告している人でも意外と漏れている項目がある。特に確認してほしいのは以下の3点だ。
まず、会計ソフトや申告ツールの費用。freeeやマネーフォワード、税理士への依頼費は確実に経費になる。これを計上し忘れているケースは思った以上に多い。
次に、振込手数料と決済手数料。PayPayや各種クレジットカードの加盟店手数料、銀行振込時の手数料も経費の対象になる。小さい額だが年間で積み上がる。
そして、業務に使ったスマホの月額費。自宅のネット回線と合わせて、按分計算が面倒で放置してしまう人が多い。計算方法さえ決めてしまえば毎月の記帳は難しくない。
✅ 今すぐできること(1分)
直近3ヶ月のクレジットカード明細を開いて、「通信費」「サブスク」の欄をスクロールするだけでいい。月額で引き落とされているサービスの中に、業務に使っているのに経費として記録していないものはないか、今日確認してみてほしい。
使っている会計ソフトに「未分類」の取引が残っている場合も、そこから始めると効率的だ。
よくある質問
Q. フリーランスが自宅作業するときの家賃は全額経費にできますか?
A. 全額は難しい。自宅兼事務所の場合は、事業に使用している割合(面積比や時間比)に応じて按分した金額だけが経費の対象になる。「仕事部屋が全体の20%」なら家賃の20%が経費というイメージだ。根拠になる計算メモは必ず残しておくこと。
Q. 飲食費はどこまで経費にできますか?
A. 一人での飲食は原則として経費にならない。取引先との打ち合わせや接待が目的の場合に限り、交際費として計上できる。領収書には「誰と」「何の目的で」を書き添えておくと、税務調査があったときに説明がしやすい。
Q. 10万円以上のパソコンを買った場合はどうなりますか?
A. 一括で経費計上することができず、減価償却(法定耐用年数で分割して計上する方法)が必要になる。パソコンの法定耐用年数は4年。中小企業者等の少額減価償却資産の特例(青色申告者向け)を使うと、30万円未満であれば取得年に全額計上できる場合がある。詳細は税理士や国税庁の案内で確認してほしい。
Q. 副業として個人事業を営んでいる場合も同じルールですか?
A. 基本的な考え方は同じだ。副業の収入に対応する支出が経費の対象になる。ただし、副業の規模(売上・利益の水準)が小さいと、事業としてではなく「雑所得」として扱われる場合があり、その場合は経費の計上範囲が異なる。判断に迷ったら税務署または税理士に確認するのが確実だ。
Q. 領収書をなくした費用は経費にできませんか?
A. 領収書が最も望ましいが、クレジットカードの利用明細・銀行の入出金明細なども証拠として活用できる。ただし、何のために支払ったかが明確でないと経費として認められにくい。交通費など少額のものは出金伝票に記録しておく方法もある。なくした場合でも、事業との関連性を説明できる他の記録を残しておくことが大切だ。
まとめ
経費の計上は、「払ったかどうか」よりも「事業との関連性を説明できるか」が判断の軸になる。
今回の50項目チェックリストを使えば、見落としがちな通信費・ソフト代・按分費用を体系的に確認できる。申告前に一度、カテゴリ別に整理し直す習慣をつけるだけで、翌年以降の作業もかなり楽になる。
本記事の内容は一般的な解説であり、個別の税務判断を保証するものではありません。ご自身の申告状況については、税理士または最寄りの税務署にご相談ください。
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著者:S
ITサポート職として勤務しながら、個人事業主・フリーランス向けの実務情報を発信。支援領域は家計管理・資格取得・副業立ち上げ・確定申告の基礎知識。本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務・法務アドバイスではありません。具体的な判断は専門家にご相談ください。