「SES やめとけ」と検索する未経験の人の多くは、ITに入りたい気持ちと「変な会社を選んで時間を無駄にしたくない」という不安を同時に抱えている。この記事は、はじめてIT業界に飛び込もうとしていて、SESという働き方を選んでいいのか迷っている人に向けて書く。結論から言えば、SESは「全部やめとけ」でも「未経験なら無条件でアリ」でもない。避けるべき会社の条件を知ったうえで使えば、未経験がITに入る現実的な入口になりうる。
接客業など異業種から、職業訓練校を経て地方でITサポートに入るようなルートだと、最初の求人にSESが多く並ぶ現実にすぐぶつかる。だからこそ「やめとけ」の中身を、感情ではなく事実で見分けられるかが分かれ目になる。
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- なぜ「やめとけ」と言われるのか(理由の検証)
- 避けるべきSESの条件チェック表
- 持ち帰れる判断軸(コピペ可)
SESとは何か、なぜ「やめとけ」と言われるのか
SES(システムエンジニアリングサービス)は、エンジニアが所属会社に在籍したまま、クライアント先に常駐して技術力を提供する働き方を指す。契約上は準委任契約にあたり、成果物の完成ではなく「労働力・技術の提供」に対して報酬が発生するのが特徴とされる(出典:株式会社アイエスエフネット「SESで偽装請負と判断されないために」 https://www.isfnet-services.com/blog/hr/ses-disguise-contract 確認日2026年6月)。
「やめとけ」と言われる背景には、いくつかの実態がある。下流工程や運用・保守といった案件に偏りやすくスキルが伸びにくい、配属される現場によって学べる内容に大きな差が出る、待機期間中の扱いが会社によって違う、といった点が繰り返し指摘される。未経験を大量に採用して回す会社があるのも事実で、こうした構造が「やめとけ」という言葉に集約されている。
ただし、これは「SESという仕組みそのものが悪い」という話ではない。問題は会社と契約の中身にある。実際、複数のキャリア系メディアは「思考停止でブラックSESに入るのはやめとけ。ただし戦略的にホワイトSESを使うなら未経験の入口としてはあり」という整理をしている。
未経験者がITに入りやすいのは確かで、人材不足という追い風もある。経済産業省の「IT人材需給に関する調査」では、需要の高位シナリオでIT人材の不足が2030年に最大で約79万人規模に達しうると試算されている(出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」 https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/gaiyou.pdf 確認日2026年6月)。入口が広いこと自体は事実だが、「入りやすい=どこでもいい」ではない、という温度差をまず押さえておきたい。
「やめとけ」の理由を事実で検証する
理由ごとに、本当に避けるべきなのか、それとも会社選びで回避できるのかを分けて考える。
| 「やめとけ」の理由 | 実態 | 未経験の対処 |
|---|---|---|
| スキルが伸びない | 案件次第。運用・監視だけの現場もあれば開発に入れる現場もある | 配属の決め方・案件例を面接で確認する |
| 給料が低い | 待機中の給与支給や還元率で差が出る | 待機中も給与100%支給かを必ず聞く |
| 客先を転々として不安定 | 大手の現場経験を積める利点でもある | 1〜2年で実務経験を作る前提で割り切る |
| ブラック企業が多い | 一部に偏在。大量採用・曖昧説明の会社に集中 | 後述のチェック表で事前に弾く |
ポイントは、ほとんどの理由が「SES全体の宿命」ではなく「特定の会社の問題」に帰着することだ。だから未経験がやるべきは「SESを避ける」ことではなく「避けるべきSESを見分ける」ことになる。
このあたりの見方は、両学長(リベ大)がエンジニア・IT転職について語る「会社選び・働き方の見極めが先で、業種そのものを一括で否定しない」という基本姿勢とも矛盾しない範囲に収まる。業界の入口として一概に否定するより、条件で選別する発想が現実的だ。
なお、SESと派遣の違いも知っておくと判断材料になる。適法なSES(準委任)では指揮命令を出すのは所属会社で、クライアントが直接エンジニアに細かく指示を出している状態は「偽装請負」と判断されうる(出典:厚生労働省「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00020.html 確認日2026年6月)。契約形態や指揮命令の説明を濁す会社は、その時点で慎重になった方がいい。
避けるべきSESの条件チェック表
求人票と面接で、次のサインが複数当てはまる会社は見送りを検討したい。
| チェック項目 | 危険なサイン | 安心できるサイン |
|---|---|---|
| 技術スタックの記載 | JavaやAWS等の具体名がない | 言語・クラウド・開発手法が明記 |
| 採用規模 | 未経験を年間で大量募集 | 募集人数が現実的 |
| 待機中の給与 | 「現場次第」と濁す | 待機中も給与100%支給と明言 |
| 配属の決め方 | 「入社後に説明」「現場次第」 | 案件例・選定の流れを説明できる |
| 還元率の説明 | 「8割還元」だが計算式が不透明 | 内訳を具体的に示せる |
| 契約・指揮命令 | 質問するとはぐらかす | 準委任の意味を説明できる |
「入社後に説明します」「現場次第です」といった曖昧な返答が面接で続く会社は、入ってから話が違うリスクが高い。逆に、案件の決め方や待機中の扱いをはっきり言葉にできる会社は、それだけで信頼の材料になる。
未経験で技術的な判断に自信がないうちは、研修制度の中身もよく見たい。形だけの「研修あり」ではなく、何を・どのくらいの期間学べるのかが説明できる会社かどうかが分かれ目になる。
AIに求人票を貼って「ブラックの兆候」を点検させる
求人票を自分の目だけで判断するのが不安なら、ChatGPTやClaudeに下書きの段階でチェックさせる手がある。求人票の本文と企業説明をそのまま貼って、次のように頼む。
あなたはIT業界に詳しいキャリア相談員です。
以下はSES企業の求人票です。未経験者が応募する前提で、
「ブラックSESの兆候」がないかを次の観点で診断してください。
1. 技術スタックが具体的に書かれているか
2. 待機期間中の給与支給について明記があるか
3. 配属・案件の決め方が説明されているか
4. 未経験を大量採用している雰囲気がないか
5. 還元率や給与の根拠が不透明でないか
各観点を「安心 / 要確認 / 危険」で判定し、
面接で確認すべき質問を3つ提案してください。
【求人票】
(ここに求人票を貼り付け)AIの答えは正解ではなく「見落としを拾うための第二の目」として使う。出てきた「要確認」項目を、そのまま面接の質問リストに変えるのが実用的な使い方だ。AIに会社の良し悪しを決めさせるのではなく、自分が質問すべきことを整理させる、という距離感がちょうどいい。
未経験がよく抱く不安への回答
入口として使う前に、未経験がつまずきやすい不安を先に潰しておく。
転々とする働き方が不安、という声は多い。ただ、中途では入りにくい大手の現場を経験できるのはSESの利点でもある。1〜2年で実務経験という「次の転職の武器」を作る、と割り切れるなら、不安定さは通過点になる。
スキルがつかないのでは、という不安は、配属される現場で大きく変わる。だからこそ面接で「どんな案件が多いか」「未経験者は最初どんな現場に入るか」を具体的に聞く。答えられない会社は、その時点で候補から外していい。
SESに入るしかないのか、という疑問もある。自社開発企業への直接応募やプログラミングスクール経由など、ルートはひとつではない。SES・自社開発・SIerの違いを理解したうえで選ぶことが大事だ。違いはSES・SIer・自社開発の違いを未経験向けに整理した記事で詳しく扱っている。異業種からの全体像は接客業からIT転職するロードマップも参考になる。
持ち帰れる判断軸(コピペして使う)
応募・面接前に、次の問いに自分で答えられるかをチェックする。3つ以上「いいえ」が続く会社は見送りを検討したい。
□ 求人票に具体的な技術スタック(言語・クラウド等)が書かれているか
□ 待機期間中も給与は100%支給されると明記/明言されているか
□ 未経験者が最初に入る案件の例を会社が説明できるか
□ 配属・案件の決め方を説明できるか
□ 研修の内容と期間が具体的に説明されているか
□ 還元率や給与の根拠を不透明にしていないか
□ 契約形態(準委任)や指揮命令について質問に答えられるか
□ 面接の返答が「現場次第」「入社後に説明」で濁されていないかこのリストは、そのまま面接で会社に投げる質問リストにもなる。未経験のうちは「聞いていいのか」と遠慮しがちだが、これらは入社後の生活に直結する正当な確認事項だ。
よくある質問
Q. 未経験でSESに入るのは結局やめた方がいいですか?
A. 一律で「やめとけ」ではない。避けるべき条件(大量採用・待機中の給与が曖昧・配属の説明ができない等)に複数当てはまる会社を避け、実務経験を1〜2年で作る入口として使うなら、未経験には現実的な選択肢になる。会社選びがすべてと考えてよい。
Q. ブラックなSESを一番手早く見分ける方法は?
A. 面接で「待機期間中の給与」「未経験が最初に入る案件の例」「配属の決め方」を聞くこと。この3つを具体的に答えられない、または「現場次第」で濁す会社は警戒する。求人票に技術スタックの記載がないのも危険なサインとされる。
Q. 研修付きSESなら安心ですか?
A. 「研修あり」の表記だけでは判断できない。何を・どのくらいの期間学べるかを説明できるかが分かれ目になる。形だけの研修で実質すぐ現場、という会社もあるため、研修の中身を具体的に質問して確かめる。
Q. SESと派遣は何が違うのですか?
A. 適法なSES(準委任契約)では、エンジニアへの指揮命令は所属会社が行う。クライアントが直接細かく指示を出す状態は偽装請負と判断されうる(厚生労働省ガイド)。契約形態や指揮命令の説明を濁す会社は慎重に見た方がいい。
Q. SESで実務経験を積んだ後はどうすればいいですか?
A. 1〜2年で得た実務経験を武器に、自社開発企業やより条件の良い現場へ転職する道がある。SESはゴールではなく入口と位置づけ、入社時点で「次にどう動くか」をイメージしておくと、案件選びの基準もぶれにくくなる。
まとめ
「SES やめとけ」は、SESという仕組み全体の否定ではなく、避けるべき会社が一部に偏在していることへの警告と読むのが正確だ。未経験にとっては入口が広い働き方であり、条件を見極めれば実務経験を作る現実的なルートになる。逆に、大量採用・曖昧な説明・待機中の給与が不透明といったサインを見逃すと、「やめとけ」が現実になる。
✅ 今すぐできること(1分)
気になっているSES求人をひとつ開き、本文に「具体的な技術スタック(言語・クラウド名)」が書かれているかだけ確認する。書かれていなければ、面接で必ず聞く質問として控えておく。
次の一歩として、未経験向けのIT転職サービスやエージェントを比較したい人はIT転職おすすめサービスのランキングで、未経験者向けに相談できる窓口を確認しておくとよい。会社選びの不安は、第三者に求人を見てもらうだけでもかなり減る。
執筆:S