転職における志望動機は「なぜ今の会社ではなくこの会社なのか」を説明する書類だ。新卒と違い、転職の場合は「前職を辞めた理由」と「この会社を選んだ理由」の両方が見られる。
採用担当者は1日に何十通も書類を見る。「御社の社風に惹かれました」「成長性に魅力を感じました」のような汎用的な志望動機は、印象に残らないまま流される。逆に、企業固有の具体的な情報が1か所でも入っていれば、書類選考の通過率は大きく変わる。
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転職の志望動機で採用担当者が見ていること
転職の志望動機を通じて採用担当者が確認したいのは、次の3点だ。
1. なぜ転職するのか(動機の正当性):ネガティブな動機をポジティブに言い換えられているか
2. なぜこの会社なのか(選択の必然性):同業他社ではなくこの会社を選ぶ理由があるか
3. 入社後どう貢献できるか(採用メリット):自社にとって採用するメリットが見えるか
「成長できる環境だと思いました」は情報量がほぼゼロ。どの会社にも当てはまるからだ。「2023年に独立させたカスタマーサクセス部門で〜」のように、固有名詞や具体的な施策が入っていると、初めて「この人はうちを調べてきた」と認識される。
志望動機の基本構成
転職の志望動機は次の4段で構成すると論理的に伝わる。
1. 前職の経験・スキル:何ができるかを簡潔に示す
2. 転職しようと思った理由:現職では実現しにくい課題を前向きに表現する
3. この会社を選んだ理由:企業研究に基づく具体的な理由(固有名詞を1つ以上入れる)
4. 入社後の貢献イメージ:どんな形で貢献したいかを1文で締める
この4段を意識するだけで「なぜ今・なぜここ・入社後はどうするか」が整理される。書類でも面接でも使い回せる構成だ。
志望動機テンプレ
前職では[職種・業種]として[年数]年間、主に[担当業務]に従事してきました。
その経験を通じて[習得したスキル・強み]を身につけましたが、
[転職を考えた背景・課題(ポジティブ表現)]という思いが強くなり、転職を検討しました。
貴社を志望した理由は、[企業固有の特徴・取り組み・事業内容]に共感したためです。
[なぜその点が自分に合うのかを1文で補足]。
入社後は[具体的な業務・部門]において[どんな貢献ができるか]で貢献したいと考えています。良い例・悪い例の比較
❌ 悪い例(汎用的・他社でも使える)
御社の成長性と社員を大切にする社風に惹かれました。
前職で培った経験を活かしつつ、さらなる成長を目指したいと思い志望しました。「成長性」「社員を大切にする社風」は、ほぼすべての企業に使える表現だ。採用担当者は「他社にも同じ文章を出しているな」と判断する。
✅ 良い例(企業固有の情報を入れた具体的な内容)
前職では法人営業として3年間、製造業向けのITツール提案を担当してきました。
その中で「導入後の定着支援まで担いたい」という思いが強くなり、転職を検討しました。
貴社はカスタマーサクセス組織を2023年に独立させ、導入後の活用支援に力を入れている点に着目しました。
顧客が本当に成果を出せるまで関わる姿勢が自分の志向と合致しています。
入社後はカスタマーサクセスチームで、前職の営業経験を活かした顧客課題の早期発見に貢献したいと考えています。固有名詞(カスタマーサクセス組織を2023年に独立させ)が入っていることで、「うちを調べてきた」が伝わる。
職種別・状況別の例文
マーケティング職向け
前職ではECサイト運営チームで2年間、SNS広告運用とコンテンツ企画を担当しました。数値改善には取り組んできたものの、戦略設計から関われる機会が限られていたため、より上流から施策を設計できる環境を求めて転職を検討しました。貴社がD2C事業のブランド戦略を内製化している点に着目し、データ起点の施策立案に携われると判断し志望しました。事務・バックオフィス職向け
前職では総務・人事補助として4年間、勤怠管理・備品調達・社内イベント運営を担当しました。業務を通じて、バックオフィスが会社全体の動きを支える重要な役割であることを実感してきました。貴社は全社的にペーパーレス化・DX推進に取り組んでいると伺い、業務改善の視点を持った事務スタッフとして貢献できると考え志望しました。エンジニア(第二新卒)向け
前職ではSESとして2年間、主にWebアプリのテスト・保守業務を担当してきました。業務を通じて自社プロダクトの設計・開発に携わりたいという思いが強まり、転職を検討しました。貴社がスモールチームでプロダクトの企画から開発まで一気通貫して行っている環境が、自分のキャリアの方向性と合致していると感じ志望しました。異業種からのIT転職向け
前職では接客業として5年間、店舗運営と顧客対応を担当しました。日々の業務で「業務効率を仕組みで解決したい」という思いが強くなり、職業訓練校でWeb開発を学び直しました。貴社が業務システムの内製開発に取り組んでおり、現場の業務理解を持つエンジニアを求めていると伺ったため、接客業で培った顧客視点をプロダクト開発に活かせると考えて志望しました。未経験職種への応募
前職では小売店の店長として、店舗運営とスタッフ育成に携わってきました。業務を通じて「人の成長に関わる仕事を本業にしたい」という思いが強くなり、人事職への転職を決意しました。貴社が新卒・中途採用の両面で内製の採用担当チームを構築している点に着目し、現場経験を活かした採用活動に貢献したいと考え志望しました。よくあるNG表現と言い換え
| NG表現 | 言い換えの方向性 |
|---|---|
| 「前の会社が合わなかった」 | 「より○○に注力できる環境を探した結果」 |
| 「給与を上げたかった」 | 「スキルと成果に見合った評価制度のある職場を求めた」 |
| 「残業が多すぎた」 | 「生産性高く働ける環境でパフォーマンスを発揮したい」 |
| 「御社の成長性に魅力を感じた」 | 「○○事業の△△という取り組みに共感し…」(具体化) |
| 「社員を大切にする社風に惹かれた」 | 「○○制度や△△の取り組みから、社員の自律性を尊重する文化を感じた」 |
NG表現の共通点は「どの会社にも当てはまる」ことだ。「この会社固有の事実」に置き換えるだけで一気に印象が変わる。
企業研究のチェックポイント
志望動機に固有名詞を入れるための情報源は次の通り。
1. 採用ページ・コーポレートサイトの「事業紹介」「ミッション」
2. プレスリリース(直近1年分)
3. 社員インタビュー記事・採用ブログ
4. 求人票の「求める人物像」「仕事内容」欄
5. 経営者・役員のSNS発信・登壇インタビュー
最低でも採用ページとプレスリリース1〜2件を読み込んでから書き始めると、固有性のある志望動機が作りやすい。
ChatGPTで志望動機の骨子を作る
応募先の情報を渡して、志望動機の骨子をChatGPTに作らせる使い方は効率的だ。
あなたは転職コンサルタントです。
以下の情報をもとに、転職の志望動機(300〜400字)の骨子を作ってください。
【応募先の情報】
社名:○○株式会社
事業:(採用ページから1〜2行)
具体的な取り組み:(直近のプレスリリースから1つ)
【自分の経歴】
前職:○○(職種・年数・実績)
転職を考えた理由:○○
入社後にやりたいこと:○○
条件:
- 「成長性」「社風」のような汎用表現は使わない
- 応募先の具体的な取り組みに必ず触れる
- 4段構成(前職→転職理由→志望理由→入社後の貢献)で書く生成された下書きを自分の言葉に書き直すのが鉄則だ。AIの文体のまま提出すると、面接で自分の言葉で語れず辻褄が合わなくなる。
E-E-A-T出典
転職活動における求人・応募の流れについては、ハローワーク(公共職業安定所)が求職者向けの公式情報を公開している。
参考:ハローワーク公式サイト(厚生労働省、2024年度)https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
まとめ:今すぐ1つだけやること
志望動機は「前職の経験→転職理由→この会社を選んだ根拠→入社後の貢献」の4段で書くのが基本だ。汎用的な表現を避け、企業固有の情報を必ず1か所以上入れることが差別化の鍵になる。
✅ 今すぐできること(1分)
応募先の求人票または採用ページを開き、「他社にはない取り組み・強み・方針」を1つ探してください。それを志望動機の3段目に書き込むだけで具体性が大きく上がります。
整理するなら、この3ステップで進める。
1. 前職の経験・スキルを一文で整理する
2. 応募先固有の特徴を1つリサーチして書き込む
3. 入社後の貢献イメージを「具体的な業務名+どう貢献するか」で締める
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執筆:S(接客業から職業訓練校を経てIT転職した立場で、未経験者向けの実用記事を中心に発信しています)
よくある質問
Q. 志望動機で「待遇がいい」「安定している」と書いてはいけませんか?
A. 本音であっても面接では逆効果になりやすいです。「この会社でやりたいこと・実現したいこと」を前面に出し、待遇は補足として添える構成にすると印象が大幅に改善します。
Q. 未経験職種への志望動機はどう書けばいいですか?
A. 「なぜ未経験でもこの職種を目指すか」の理由(動機)と「どんな準備をしてきたか」(行動の証拠)をセットで書くのが基本です。「興味があります」だけでは薄いため、具体的なアクション(学習・資格・職業訓練など)を添えましょう。
Q. 志望動機は会社ごとに変えるべきですか?
A. 変えるべきです。「なぜ他社ではなくこの会社か」という独自性が重要です。事業内容・経営方針・職場環境など、その会社特有の情報を1〜2点盛り込むと志望度の高さが伝わります。