保険は、入っているのに何に備えているか説明できない人がとても多いカテゴリです。窓口の人に勧められるまま契約し、毎月の引き落とし額だけ眺めているケースが珍しくありません。
見直しは順序が大切で、いきなり「医療保険を解約」「生命保険を増額」と動くと損をします。
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保険は3つに分けて考える
民間保険は、大きく3つに分かれます。それぞれ目的が違うため、まとめて判断すると混乱します。
| 種類 | 何に備えるか | 代表例 |
|---|---|---|
| 医療保険 | 病気・けがの治療費 | 入院給付金・手術給付金 |
| 生命保険 | 自分が亡くなったときに残された人の生活 | 死亡保険・収入保障保険 |
| 損害保険 | 物・賠償・休業のリスク | 自動車・火災・個人賠償・地震 |
「保険見直し」と言っても、医療を見直すのか、生命を見直すのか、損害を見直すのかで、考え方も期待できる削減額もまったく違います。
見直しの順番
1. 損害保険から始める
意外に思われますが、損害保険はもっとも見直しの効果が出やすく、判断もしやすい分野です。
自動車保険なら、年齢条件を「全年齢補償」から「30歳以上補償」「35歳以上補償」へ切り替え、運転者範囲を「家族限定」から「本人・配偶者限定」に絞ると、年1〜2万円下がる例があります。補償額は対人・対物無制限を維持しつつ、車両保険の自己負担額(免責金額)を上げると保険料が下がります。
火災保険も、再調達価額の設定や、家財保険金額が過大になっていないかを確認します。新築時の評価額のまま10年放置していると、家財の実額より高い保険に入っているケースが珍しくありません。
地震保険・個人賠償責任特約は、必要性が高いわりに保険料が抑えめです。逆に、あまり起きないことに高額の特約をつけているなら、見直し対象です。
2. 医療保険を点検する
医療保険は、日本の公的医療保険(健康保険)と高額療養費制度を踏まえて考えます。高額療養費制度により、月の医療費の自己負担には上限があります(参考: 厚生労働省 高額療養費制度 2025年)。
たとえば、年収約370〜770万円の世帯(区分ウ)なら、月の自己負担上限はおよそ8万円台です。3か月入院しても自己負担は25万円前後にとどまる計算で、貯蓄が月の自己負担上限の3〜4か月分(25〜35万円)以上あるなら、医療保険は最低限でよい、という考え方が成り立ちます。
入院給付金日額1万円・手術給付金10万円といった保障を厚く積むより、貯蓄を増やすほうが合理的なケースは多いです。
3. 生命保険は家族構成で再計算する
生命保険は、扶養している家族がいるかで判断が大きく変わります。
独身・子なし夫婦なら、必要保障額は葬儀費用+少額の整理資金で十分なケースが多く、数百万円の保障で足ります。子どもがいる現役世代の場合、教育費・残された配偶者の生活費を考えるため、必要保障額が数千万円規模になります。
子どもの成長に合わせて保障額は段階的に減らせるため、収入保障保険のように「逓減型」の商品が合うこともあります。
参考: 公益財団法人 生命保険文化センター 2025年(中立的な情報源として、家計と保険の考え方が多数公開されています)
必要保障額の計算式
「いくら入ればいいか」は、なんとなくでは決められません。次の式で粗くてもよいので一度出してみてください。
必要保障額 =(残された家族の年間生活費 × 必要年数)−(遺族年金見込み額 × 必要年数)−(現在の貯蓄)−(配偶者の収入見込み × 必要年数)
遺族年金を必ず引く
会社員(厚生年金加入)が亡くなった場合、配偶者と子には遺族基礎年金+遺族厚生年金が支給されます。子の人数や配偶者の年齢で金額は変わりますが、年100万〜150万円規模になることもあります(参考: 日本年金機構 遺族年金 2025年)。
この公的保障を計算に入れずに民間保険だけで備えようとすると、保険料が膨らみすぎます。
例:30代会社員・配偶者・子1人
必要保障額 = 360 × 18 −(130 × 18)− 300 −(100 × 18)= 6,480 − 2,340 − 300 − 1,800 = 約2,040万円
この金額に近い死亡保障を、できるだけ安い掛け捨て(収入保障保険・定期保険)で確保するのが基本路線です。家族構成や年収で数字は大きく動くので、自分の数字で必ず1度計算してください。
よくある勧誘で迷わない判断軸
1. 「貯蓄になります」と言われたとき
貯蓄性のある保険(終身保険・養老保険・学資保険)は、保険機能と運用機能が混ざった商品です。途中解約すると元本割れすることが多く、流動性も低めです。
「保険」と「投資」を分けて、保険は掛け捨てで安く、運用はNISAなどで別に行う考え方のほうが、シンプルで管理しやすいことが多いです(参考: 金融庁 NISA特設ウェブサイト 2025年)。
2. 「特約がついてお得です」と言われたとき
特約は数を増やすほど、後から条件確認が難しくなります。よく付けがちな代表例はこのあたりです。
同じ保障を別の単独保険で買ったときの保険料を比較し、本当にお得かを確認します。
3. 「みんな入っています」と言われたとき
統計的に多い・少ないは、自分にとって必要な保障とは別の話です。家族構成・貯蓄・公的保障で必要額は変わります。
見直しの進め方
進めるときは、いきなり解約しないのが鉄則です。新しい保険の契約が成立してから、古い保険を解約します。健康状態の変化で新規加入が断られる場合があるためです。
担当者と話す前に、家族構成・年収・貯蓄額・現在の保険の証券をまとめておくと、話の精度が上がります。
✅ 今すぐできること(1分)
財布またはスマホの保険アプリを開いて、自分が今いくら毎月保険料を払っているか合計してみてください。年間に直すと数十万円という人が多く、その金額に見合う保障になっているかを点検する出発点になります。
保険の証券チェックリスト、社内向けのライフプラン相談ツール、保険・年金の試算アプリなどのご相談はお気軽に。お問い合わせは /contact から。
※本記事は一般的な情報提供であり、特定の保険商品・サービスを推奨するものではありません。重要な判断は、複数のファイナンシャルプランナーや公的相談窓口(各自治体の消費生活センターなど)に相談のうえ行ってください。
執筆:S
よくある質問
Q. 保険を見直す際、解約すると損をしますか?
A. 終身保険・養老保険は解約返戻金があるため、加入期間が短いほど損になりやすいです。定期保険・医療保険・収入保障保険は掛け捨て型が多く、不要なら解約でコストを減らせます。
Q. 医療保険は本当に必要ですか?高額療養費制度があれば不要という意見もありますが。
A. 高額療養費制度で自己負担の上限は抑えられますが、入院中の収入減少・差額ベッド代・食事代は補償されません。緊急資金(3〜6ヶ月分の生活費)があれば医療保険なしでも乗り切れる場合があります。
Q. 生命保険の見直し相談は、どこに行けばいいですか?
A. 複数の保険会社の商品を比較してくれる保険ショップ(ほけんの窓口・保険見直し本舗等)が利用しやすいです。担当者には希望(貯蓄型か掛け捨て型か・予算)を最初に伝えると的外れな提案が減ります。