保険の見直しは「面倒くさい」「何が正しいかわからない」というイメージで後回しにされやすい。でも、月に何千円〜2万円以上払っている保険料を5年・10年放置していると、気づかないまま数十万円が消えていることがあります。
この記事では、保険を「公的保障で賄える部分」と「自分で備えるべき部分」に分けて整理し、何を先に見直せばいいかを順番で解説します。
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まず公的医療保険の範囲を把握する
民間保険を見直す前に、公的医療保険(健康保険・国民健康保険)でカバーできる範囲を正確に知ることが先です。この確認を飛ばすと「実はいらなかった保険」に長期間お金を払い続けることになります。
公的医療保険でカバーされること
自己負担割合(厚生労働省・2026年確認)
| 年齢 | 自己負担割合 |
|---|---|
| 6歳未満(義務教育就学前) | 2割 |
| 6歳〜69歳 | 3割 |
| 70〜74歳 | 2割(現役並み所得者は3割) |
| 75歳以上 | 1割(現役並み所得者は3割) |
高額療養費制度:同一月の医療費が一定額を超えた場合、超えた分が返ってきます。
| 所得区分 | ひと月の上限額(目安) |
|---|---|
| 年収約370万円以下 | 57,600円 |
| 年収約370〜770万円 | 80,100円+(医療費−267,000円)×1% |
| 年収約770万円以上 | 167,400円+(医療費−558,000円)×1% |
⚠️ 2026年8月改定予定:年収370〜770万円(区分ウ)の上限額は85,800円に引き上げ(厚生労働省発表)。最新情報は厚労省公式サイトでご確認ください。\r\n\r\nこの制度があるため、入院しても「何百万円もの自己負担が発生する」というケースはほぼ起きません。「民間の医療保険がないと入院費を払えない」という恐怖感は、高額療養費制度を知ることでかなり和らぎます。
見直し優先順位
| 優先度 | 保険の種類 | 見直しの視点 |
|---|---|---|
| 最高 | 医療保険(入院特約・手術特約) | 高額療養費制度との重複がないか |
| 高 | 生命保険(死亡保障) | 扶養家族がいるかどうかで必要額が変わる |
| 中 | がん保険 | 公的保険との重複・貯蓄との代替可能性 |
| 中 | 就業不能保険 | 傷病手当金・障害年金でどこまでカバーされるか |
| 低 | 損害保険(自動車・火災) | 必要性が高いが見直す余地は少ない |
| 最低 | 貯蓄型保険 | 元本割れリスクと資産形成効率を比較 |
医療保険:高額療養費との重複を確認する
民間の入院特約や手術特約は、高額療養費制度と機能が重複しやすい。
確認ポイントは「入院した場合の実際の自己負担額が、貯蓄で賄えるかどうか」です。
- 高額療養費の上限を超える入院費は、公的保険で返ってくる
- 差額ベッド代・食事代・交通費など「保険適用外の費用」は自己負担
- 差額ベッド代の全国平均は1日あたり6,500円前後(厚生労働省調査)
1か月入院した場合の実費(差額ベッド代含む)を試算してみると、貯蓄3〜5万円の取り崩しで収まるケースが多い。月数千円の保険料を何十年も払い続けることを考えると、貯蓄のほうが効率が良いケースがあります。
ただし「長期入院のリスクが高い家族歴がある」「貯蓄がほぼない」という場合は、別の判断になります。
生命保険:本当に必要な死亡保障額を計算する
生命保険(死亡保障)が必要なのは、「自分が死んだときに、誰かの生活が成り立たなくなる場合」です。
- 独身・扶養家族なし → 最小限の死亡保障で十分
- 既婚・子なし(共働き) → 残された側の生活費の一時的補完
- 既婚・子あり → 子どもが独立するまでの生活費+教育費
必要な保障額の大まかな計算式:
(残された家族の生活費 × 年数)+(教育費)−(公的遺族年金)−(現在の貯蓄)
公的遺族年金は、18歳未満の子どもがいる場合は「遺族基礎年金」が支払われます。配偶者と子ども1人の場合、月約10万円前後が目安です(厚生労働省・日本年金機構・2026年確認)。
この計算をすると、実際に必要な死亡保障が現在加入している生命保険額より大幅に小さい、というケースがよくあります。
就業不能保険:公的制度でどこまでカバーされるか
会社員が病気・ケガで働けなくなった場合は、公的制度が複数あります。
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 傷病手当金(健康保険) | 連続3日休んだ翌日から最大1年6か月間、給与の約3分の2を支給 |
| 障害年金 | 障害等級に応じて支給(国民年金・厚生年金) |
| 傷病手当金(雇用保険) | 失業中の傷病に対して支給 |
会社員は傷病手当金があるため、短期〜中期の就業不能リスクはある程度カバーされます。傷病手当金が終わった後も対応が必要な「長期就業不能リスク」だけを民間の就業不能保険で補う、という考え方が合理的です。
貯蓄型保険は資産形成効率で判断する
終身保険・学資保険など「貯蓄型」の保険は、返戻率(払い込み保険料に対してどれだけ戻るか)と期間を確認してください。
低金利・高インフレの環境では、貯蓄型保険の利回りが低くなりやすい。同じ期間・同じ金額を新NISAや個人向け国債で運用した場合と比較してみると、判断しやすくなります。
ただし「強制的に積立られる仕組み」を価値として感じている場合は、続けている意味はあります。
保険証券の確認手順
保険見直しは、まず手持ちの保険証券を全部出すことから始まります。
- 1保険証券・証書を全部出す(引き出しや押し入れに眠っているものも含む)
- 2保険の種類(医療・生命・がん・就業不能)を仕分ける
- 3月の保険料合計を計算する
- 4それぞれ「何を守るための保険か」を一行で書く
- 5公的保険で賄える部分と重複しているものを確認する
保険証券がどこにあるかわからない場合は、クレカの明細・銀行の引き落とし一覧から保険会社名を探すと見つかります。
家計全体の固定費を確認したい場合は固定費見直しの優先順位の記事も合わせて参照してください。
✅ 今すぐできること(1分)
銀行口座またはクレジットカードの明細を開いて、保険会社からの引き落としがいくつあるか数えてください。
月の保険料合計だけ確認する、それだけでいいです。「月◯円払っているんだ」という事実を知るところから、見直しは始まります。
執筆:S
よくある質問
Q. 民間の医療保険は不要ですか?
A. 公的医療保険(健康保険)の高額療養費制度があるため、入院しても月数万円の自己負担に収まるケースが多いです。差額ベッド代・食事代など保険適用外の費用を貯蓄でカバーできるなら、民間の入院特約は不要なケースがあります。ただし、長期入院リスクがある場合や貯蓄が少ない場合は判断が変わります(厚生労働省・高額療養費制度・2026年確認)。
Q. 生命保険はいくらの保障が必要ですか?
A. 扶養家族がいる場合は「残された家族の生活費×年数+教育費−公的遺族年金−貯蓄」で必要額を計算します。独身や扶養なしの場合は最小限の死亡保障で十分なことが多いです。実際に計算すると、加入中の保障額が過大なケースがよくあります。
Q. 病気で働けなくなった場合に公的制度でいくらもらえますか?
A. 会社員の場合、傷病手当金として給与の約3分の2が最大1年6か月間支給されます(健康保険法・厚生労働省)。障害が残った場合は障害年金の対象になります。これらの公的制度で短〜中期の就業不能リスクはカバーされるため、民間の就業不能保険が必要かどうかは「傷病手当金終了後のリスク」で判断するのが合理的です。
Q. がん保険は入ったほうがいいですか?
A. がんの治療費も高額療養費制度の対象になるため、入院・手術の費用は月の上限額以内に収まります。ただし、抗がん剤などの先進医療や通院治療費は保険適用外のものがあります。現在の貯蓄でカバーできる金額かどうかを確認してから、保険の必要性を判断してください。
Q. 保険を見直すタイミングはいつが良いですか?
A. 「結婚」「子どもが生まれた」「子どもが独立した」「転職・退職」「住宅購入」などライフステージが変わったタイミングが最も適しています。それ以外でも、加入から5年以上経過している保険は内容が古くなっていることがあるので、保険証券を確認するだけでも価値があります。