2026年5月29日、日経平均株価が前日比1636円高の6万6329円と史上最高値を更新した。2025年末比の上昇率は3割を超え、世界の主要指数を引き離す展開が続いている。こうなると「今から始めたら高値掴みになる」と不安でNISAを踏み出せない人も多い。積立投資の判断軸を整理する。
⏩ 急いでいる方はこちら
- 「今が高い」は積立では関係ない理由
- NISA積立を始める手順(口座開設〜設定)
- 今すぐできること(1分)
「今が高すぎる」は積立には関係ない
株価最高値のニュースを見ると「今買ったら損するのでは」と感じる。だがその感覚は、一括で買う場合には有効でも、毎月定額を積み立てる方法(ドルコスト平均法)では当てはまりにくい。
積立投資の仕組みはシンプルだ。毎月決まった金額を自動で買い続ける。価格が高いときは少なく、安いときは多く買える。相場の上下を自動で均すため、「今が高い・安い」のタイミングを気にしなくてよい。
むしろ積立で大きく影響するのは「始めた時期」ではなく「続けた年数」だ。今日始めた人が30年続けるのと、3年後に始めて27年続けるのでは、同じ月3万円の積立でも最終的な金額に差が出る。始めるのが1か月でも早い方がよい。
出典:Googleトレンド急上昇(2026年5月29日取得)/日本経済新聞(2026年5月29日)
株価最高値更新が続く背景
今回の日経平均高値更新は、AI・半導体関連企業への資金集中が主な要因とされている。米国のAI投資拡大が国内製造業の設備投資にも波及し、企業業績の上方修正が相次いでいる。
一方で、日本の個人投資家のNISA口座は2024年以降急増しており、個人マネーの流入が相場を支える構図も定着しつつある。「庶民がNISAで買った分が株価を押し上げている」という見方もある。
ただし株価が上昇局面にあるときこそ「いつか下がる」リスクも隣り合わせだ。一括投資で全財産を投じるのは論外として、積立であれば下落した際に安く拾える機会でもある。長期で持つ前提で始めることが、心理的なブレを小さくする。
NISA積立で迷わないための比較表
積立NISAの主な選択肢を整理した。
| 商品タイプ | 特徴 | 初心者向け度 |
|---|---|---|
| 全世界株式インデックス | 世界中に分散・手数料が安い | ◎ |
| 米国株式インデックス(S&P500) | 米国大手500社連動・過去の成長率が高い | ◎ |
| バランス型(株+債券) | 値動きが穏やか・リスクを抑えたい人向け | ○ |
| アクティブ型 | 専門家が運用・コストが高め | △ |
| 個別株(成長投資枠) | 高リターン期待・知識が必要 | △〜× |
初心者が迷ったら、全世界株式か米国株式のインデックス投信の一択で問題ない。手数料(信託報酬)が年0.1%前後のものを選ぶだけで、長期では大きな差が出る。
NISA積立を始める手順
STEP 1は証券口座の開設だ。ネット証券はスマホ10分で申し込めて無料。口座開設と同時にNISA口座も申請する。楽天カード利用者は楽天証券、三井住友カード持ちはSBI証券がポイント積立の観点で相性がいい。
STEP 2はNISA口座の開設確認だ。税務署の確認が入るため数日〜1週間かかる。メールで開設完了が届いたら次へ。
STEP 3は積立設定だ。商品と月額を決めて自動積立をオンにする。月1万円〜でもよい。一度設定すれば放置でOK。
各証券会社での口座開設の詳しい手順は楽天証券でNISA口座を開く全手順、NISAと iDeCo の使い分けはiDeCo vs 新NISA どちらを優先すべきかで解説している。
積立で絶対にやってはいけないこと
株価が上がったら喜んで、下がったら慌てて売るのが最も避けたいパターンだ。積立投資は「下がっても売らない」が鉄則で、下落局面こそ安く買えるチャンスでもある。
一時的な損失が出たとき、SNSで「NISAは損する」という投稿を見て不安になり売却した人が、その後の回復局面に乗れなかった事例は多い。設定したら「見ない」くらいの方が精神的に続けやすい。
また、積立のペースを急に増やしたり減らしたりするのも避けたい。月3万円と決めたら、家計に余裕があっても増やす必要はない。「余裕資金の範囲内で、無理なく続ける額」を最初に決めてしまうのが長続きのコツだ。
積立シミュレーション:月3万円を20年続けると
積立投資の効果を数字で確認しておくと、始める動機と続ける根拠が生まれる。ここでは一定の利回りを仮定した試算を示す(実際のリターンを保証するものではない)。
| 月額積立 | 期間 | 年率3%想定 | 年率5%想定 | 元本のみ(利回り0%) |
|---|---|---|---|---|
| 月1万円 | 20年 | 約329万円 | 約412万円 | 240万円 |
| 月3万円 | 20年 | 約987万円 | 約1,236万円 | 720万円 |
| 月5万円 | 20年 | 約1,645万円 | 約2,059万円 | 1,200万円 |
この表で注目すべきは「元本のみ」との差だ。月3万円・20年の積立なら、年率3%で約267万円・年率5%で約516万円のリターンが期待値として計算される。長期ほど複利効果が大きくなることが数字で見えやすい。
「今が株価最高値」という状況でも、月3万円を機械的に続けることの意味が、この試算からわかる。一方でこの数字はあくまで一定のリターンが続いた場合の計算であり、実際には損失が出る時期もある。元本割れのリスクを理解した上で、長期運用を前提に取り組むことが重要だ。
今すぐできること(1分)
スマホで楽天証券かSBI証券の公式サイトを開き、口座開設ページに進む。氏名・住所・マイナンバーを入力する前に「NISA口座も同時に申請する」のチェックを確認しておく。申し込みは5〜10分で完了する。
口座をすでに持っている人は、NISA積立設定が完了しているかを確認する。「口座は持っているが積立設定をしていない」という人が意外と多い。
よくある質問
Q. 株価最高値のタイミングで始めると損しますか?
A. 積立投資なら、始めるタイミングの影響は長期的に小さくなります。毎月定額を積み続けることで購入価格が平均化されるため、「今日が高値だったかどうか」より「何年続けるか」の方が最終的な結果に大きく影響します。
Q. まずいくらから始めればいいですか?
A. 月1,000円や1万円など少額から始められます。重要なのは金額より「続けること」です。家計を圧迫しない範囲で設定し、余裕ができたら増やす方が長続きします。
Q. 株が大きく下落したらどうすればいいですか?
A. 基本は「何もしない」です。積立を止めたり売却したりするのが最もやってはいけないこと。下落時は安く買えているフェーズであり、長期目線では回復する可能性が高いです。
Q. 全世界株式と米国株式、どちらがいいですか?
A. どちらも過去の実績は良好です。米国株式は集中度が高く高リターン期待がある一方、全世界株式は米国以外にも分散されリスクが広く分散されます。迷ったら全世界株式から始める人が多いです。
Q. NISA口座は一度開けば何もしなくてもいいですか?
A. 積立設定をしていれば毎月自動で購入されます。ただし年1回は運用状況を確認し、目標に対して過不足がないか見直すことをおすすめします。
株価最高値というニュースは「乗り遅れた」感覚を与えがちだが、積立投資において始める理由の1つにはなっても、「始めない理由」にはならない。今日の最高値は、30年後から見れば通過点に過ぎない可能性が高い。まず口座を開くことから始めたい。
著者:S